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第143話 今では家族(レクター視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(レクター視点)






 いやはや、時の流れは早いとは思っていたけど。


 年下でも、実家は王家。僕の元患者だった『チャロナ王女』がまさか僕の義姉になるだなんて、今でも信じられない。それは幼馴染みで主君でもあるカイルのことについてもだけど。


 カイルの実の妹であるアイリーンと結婚出来ちゃったから、ほんとに義兄弟になっちゃったし?


 お互い子どもも出来たから、『家族』って輪が広がったんだ。


 約十年だけど、意外にその流れは早かった。


 だけど、実の娘がシュラ様のご子息と婚約するまでは予想外過ぎたけどね!?


 カイルやアイリーンも王家の血脈なのに、直系と縁戚を結ぶことになるだなんて……ほんと、人生何があるかわかったっもんじゃない。それはチャロナちゃんについてもだ。



「……お母様。これでいい?」


「そうそう、上手よ? これをマヨネーズに混ぜましょうか?」


「儂の特製マヨネーズの出番ですな!」



 カイルと結婚出来て、次代を担う子ども生まれた。カイルの後継になるかわからないけど、念願の男児も生まれたんだ。これってないくらいに幸せだろう。チャロナちゃんと結婚してから、彼が子ども時代に失いかけた感情もほとんど取り戻しているし。


 けど、まさか。


 その娘がチャロナちゃんと同じ、錬金術の流れをくんだ異能(ギフト)を神から与えられたことは予想外過ぎだったが。ロティちゃんとレイの娘を契約精霊に出来た時点で、予兆のようなものはあったけどね?



「まあ、お義姉様? その薄緑のものは何ですの?」


「用途としてはお米と相性のいい調味料なの。けど、パンにも合うからソースの材料にも使えるのよ」



 カイルはともかく、アイリーンとは今では義姉妹だけど従姉妹としても砕けた話し方が出来ている。仲のいいことで見ていて微笑ましい。



「賑やかだな?」


「カイル」



 仕事がひと段落ついたのか、アーネスト様がいらしているから切り上げてきたのか。


 歳を重ねると、ますます義父上のデュファン様そっくりの顔立ちになっていってるよ。モテモテ要素多いけど、チャロナちゃん一筋だからね? お熱いことで。



「また美味しいもの作っているらしいよ」


「……チャロナの持つ知識は、偉大だけで片づけられんからな」


「そうだね」



 まだリーシャには言えない時期らしいけど、いつか知る機会は来るだろう。


 異世界からの転生者。


 もとは、見習いクラスでも技術はトップレベル。


 神に見いだされ、『枯渇の悪食』を解決に導き、世界を救った偉人。


 けど、普段は公爵家の夫人。ときどき、城下街や城に料理指導には行くけど。


 貴族と平民両方の考え方を持つ彼女の素晴らしさを、今では当たり前として受け入れられる時代になっている。


 そんなチャロナちゃんの心を射止めたカイル自身も幸せであるから、僕も自分の幸せをきちんと噛みしめていられるんだ。


 姪のリーシャの方は、フィーとカレリアの息子と婚約しているし。


 チャロナちゃんの捜索隊として編成したパーティーメンバーのほとんどが、本当の家族になるだなんて誰が予想出来ただろう。


 何があるかわからないって、シュラ様はよく言っていらしたけど……その通りだと僕は改めて実感出来た。


次回は土曜日〜

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