第139話 卵の宝石?
お待たせ致しましたー
いくらを仕込むために、まずはお湯を沸かすんですって。
だけど、熱湯じゃあっついから、お鍋でお風呂の熱さくらいに沸かすらしいの。出来たらその中に、お塩を多めに入れるのはびっくりしたけど。
しょっぱくならないかしら?
「いくらのこの状態を筋子と言うんです。ぬるま湯なら、火が通り過ぎないので湯の中で外側の膜を剥がす作業が楽なんですよ」
「ほう? 塩漬けのようになりませんかな?」
「臭み消しの理由もありますが、ぬめりも取れるので塩を使います」
「そうなんだー」
『みゅー』
「興味深いですな」
「さ。初めての感触でしょうが、膜から卵を剥がしましょう」
外側の膜と言うのを取るんだけど、ぬるいお湯につけたらペリっと剥がれたの!
中の卵が潰れるんじゃって思ったのに、お母様がおっしゃる通りに全然潰れない!! ふにゅふにゅしてるけど、全然潰れないの! 不思議!!
「ほほぉ。たしかに潰れませんな?」
「縮小化がうまくいったおかげです。全部剥がれたら、ゴミ部分の薄い膜の欠片などを取って」
それを、ザルにあげたら……スライムの時より薄い色だけど。宝石のようにキラキラ輝く石みたいなのが出来上がったわ!!
「綺麗!」
『みゅ!』
「ふふ。もっと綺麗になるわよ?」
「え? もっと??」
「これから味付けですかの?」
「ええ。醤油ベースに他も用意して」
しっかり水切りをした後に、ボウルへ卵を入れてしょうゆや他の調味料も入れたら。
お母様に、時間短縮をかけてって言われたの。時間は約半日でいいんだって。
「重ねがけ、短縮化!」
『最大短縮でしゅ!』
ボウルの中身の光が消えたら……卵がしょうゆの色を少し吸っているのに、綺麗なオレンジ色になったの!!
「もっと綺麗!!」
「素晴らしいですな!!」
爺様も驚かれたくらい、本当に宝石のようで綺麗!!
これが食べられるの? おスシにしたら美味しいの!?
「うまくいきましたね。味付けは醤油が基本ですけど、塩だったりお味噌でもいいんですよ?」
「お塩とミソ?」
「ほう? それもこのような仕上がりに?」
「見た目はですね。機会があれば試してみましょう」
とりあえず、これを食べるのはそのままでもいいんだけど。
お母様がおっしゃるには、お米といっしょがいいってことでシェトラスと用意してくださったんだけど。
お米の上にあると、もっと輝いて見えたわ!!
「これは……! さらに美しいですな!!」
「お米があったかいうちにいただきましょう?」
「はーい!」
「では」
「『「「「いただきます」」」』」
お祈りといっしょに、声を合わせて食べることになったの!
次回は月曜日〜




