第121話 従兄弟と従姉妹
お待たせ致しましたー
婚約式はすぐじゃないんだけど。
今度は従兄弟たちもお祝いに来てくれたの!
「おめでとー!」
「おめでとうなんだぞ!」
料理は出来ないけど、裁縫とかが得意なのであたしとセシル兄のぬいぐるみを急いで作ってくれたんだって!! どっちもすごくそっくり!
「わー! ありがとう!」
ぎゅっと抱っこすると、どっちもすっごく抱き心地がいいわ。王族だから上等の材料を使ってくれたみたい。あたしもお母様が王族だから血は繋がっているけど、そこまで贅沢してないのよね? お母様もお父様も食事以外は倹約家だからか。
ぬいぐるみはベッドの脇に飾ることにして、三人で婚約式について話し合うことになったわ。
「すごいな! 僕たちより先に婚約だなんて」
「とても驚いたんだぞ。私もまだなのに」
「ちょっとごめんね。でも、セシル兄はあたしのだもん」
「うん? まだ兄呼びしてるのか?」
「今だけ。……大人になったらちゃんと呼ぶわ」
「子ども特権ってやつか」
「そういうこと」
今だけだもん。友達だし、幼馴染みでいられるのも。
だから、今だけは兄呼びしたいってお願いしたのよね。セシル兄もいいよって言ってくれたもん。
毎日は会いに来れないけど、お勉強以外で時間が取れたら来てくれるって! お母様からは『デートしたら?』って言ってもらえたから……ちょっと考え中。
あたしも、将来の伯爵夫人になるのにお勉強はしなくちゃなんないから。あと、孤児院の差し入れのお仕事もまた頑張らなくちゃだし。
「婚約かぁ。僕らも決めなくちゃだけど……茶会開いてもピンと来ないんだよなあ?」
「面倒である」
「気になる子とかいないの?」
「き、気に?!」
「え?」
「リーシャ。兄上にはそれはそれは心を乱すご令嬢がいるのだ」
「誰?」
「ユイノ姉者だ」
「ば、言うなよ!?」
「へー?」
ユイノ姉なんだ。エディトよりちょっと上だけど……年齢差はどうこう言われることじゃないし、いいんじゃないかな? 可愛くて綺麗なあたしの従姉妹だけど……ちょっぴり腹黒い。でも、王太子妃になるには相応しいかも。
「……ガキだし、あっち年上だし。王族だからって見向きされないだろうし」
「ユイノ姉者のことになると途端に弱気なんだぞ。リーシャとしてはどう思う?」
「いいんじゃない? ユイノ姉が将来の王妃様になれば、国の政も色々捗るだろうし」
叔父様の子どもだから頭良いもの。そこは胸を張って言い切っていいくらい。
最近は会えていないけど、婚約式には来てくれるって言ってくれたから……こっちの従兄弟のために、ちょっとは頑張りますか。
ユイノ姉の気持ちをちょっと聞き出すくらいしか出来ないけど、何もしないよりはいいもん!
次回は日曜日〜




