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第113話 大風邪引いて①

お待たせ致しましたー

 のど痛い。


 咳も止まらない。


 体が熱くて仕方がないわ!


 せっかくの、セシル兄とのごあいさつなのに……なんで楽しみ過ぎて大風邪引いちゃうの!?



「はい、リーシャ? レクター先生のお薬飲んで?」


「……苦い?」


「リーシャ用に甘く仕立ててくれてるわ。いい子だから、飲んでゆっくり寝なさい?」


「……セシル兄のは?」


「また日を改めてよ? セシルくんは逃げないからゆっくり休みなさい」


「……はぁい」



 風邪は治癒の魔法じゃ治りにくいから、お薬が基本なの。あたしはあんまり風邪は引かないんだけど……今回はひどいから、叔父様のレクター先生がお薬届けてくれたんだって……。甘いのならと飲んだら、本当にシロップのように甘いからごくごく飲めた。


 飲んだあとは、のどがまたヒリヒリしてきたけど。



「少ししたら、薬が効いてくるからゆっくり寝なさい?」


「……はぁい」


『ご主人様、おでこのタオル変えるでしゅ』


「……ありがとー」



 ミアも一生懸命に看病してくれて……本当にいい子だわ。


 お薬の効果もあって、すぐに寝たあたしは。見たくもない夢にうなされたの。



『リーシャ。来てくれなかったから、俺は別の子を選ぶ』


『待って!? 待って、セシル兄!! あたしはそんなつもりじゃ!!』


『じゃあね』


『セシル……に』



 どっかに行っちゃいそうだったのは、フィルドさんが来たあの日と同じで。


 あたしは夢なのに一生懸命に追いかけて追いかけても……追いつけなくて。


 気がついたら、誰かがおでこのタオルを取り替えてくれてるとこだった。ミアかしら?



「……大丈夫? リーシャ」



 その人はミアじゃなくて、夢の中とは違う優しいままのセシル兄だったわ!?



「セシ……!?」


「薬飲んだだろうけど、大声はやめなよ。まだのどとか痛いだろう?」


「ど……して?」



 どうして、あいさつをキャンセルにしたのにセシル兄本人が会いに来てくれたのだろうか?


 まだ熱がちょっとあるから、あたしの頭は夢の出来事もあってうまく考えられなかった。これこそ夢なんじゃと思っても、おでこのタオルはちゃんと冷たいものだから……夢じゃないっていうのは、わかったの。


 だから、来てくれた理由を聞きたかった。



「そりゃ。リーシャが風邪引いたって聞いたからさ。父さんに頼んでお見舞いに切り替えさせてもらったんだよ。公爵ご夫妻にはちゃんと許可はもらったから」


「……おみまい?」


「うん。驚いたよ。いつも元気なリーシャが風邪引いたって。……大丈夫?」


「……うん」



 夢じゃない。本当にいつも優しくてあったかい、あたしが大好きになったセシル兄のままだ。わざわざ、お見舞いに来てくれるところが……本当に律儀で優しい。


 それなら、風邪を理由に聞いてもいいのかな? この前から不思議に思ってたこととか。


 本当は今日あいさつするときに聞きたかった、婚約の申し込みはセシル兄自身が望んだこととか。


 ちょっと咳をしてから、あたしは首を傾げてたセシル兄に手を伸ばした。

次回は日曜日〜

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