第112話 公爵家内で打ち明ける
お待たせ致しましたー
差し入れもお茶休憩も終わって、サリー姉たちと別れて屋敷に戻ったんだけど。お父様から、お話があるってミアと一緒にお父様の執務室に行ったの。
中では、お父様が難しい顔で応接用のソファに座ってて、向かいにはお母様がディオスを抱っこしながら座ってた。
(……なんのお話だろ?)
今日の差し入れの報告とかは前もやったけど……こんなにもお父様が不機嫌そうな感じじゃなかった。むしろ喜んでくださったのに、どうしたのかな?
「ふふ。カイル様? リーシャが変に緊張しちゃっていますよ?」
「…………すまない」
お母様がニッコニコでそう仰ると、お父様はおでこのシワをちょっとだけ緩められたわ。まだちょっと怖いけど、これくらいはいつものお父様だもの。
「……お話って?」
お母様の横に座ってから聞くと、お父様はテーブルに置いてある書簡をあたしの前にすっと押した。あたしが読んでいいのかとお母様を見たら、さらにニコニコされたわ? これは、あたしにとっていいことなのかな?
『みゅ! ご主人様、開けるでしゅ!』
「う、うん……」
ちょっと重いそれを、しっかり持って開けて……書類らしいそれを読んでみたんだけど!?
『みゅぅう!?』
「えぇえ!?」
中身は、縁談の申し込み。
相手は、アルフガーノ伯爵家の嫡男!!
つまり……セシル兄からの申し込みってこと!?
なんで!? おじ様が言い出したの!!?
「うふふ。リーシャ? お父様にちゃんと話したら?」
「え、え、え!? セシル兄が!? おじ様からなの!?」
「……それは本人に聞きに行くといい。リーシャはどうなんだ? 幼馴染みから申し込まれて」
「!! ……お父様、言っていいの??」
「正直な思いを教えてくれ」
お父様がここまで言うなんて……あたしの気持ちはお母様に教えてもらっても。
ローザリオン公爵家の娘として……ちゃんと正直な気持ちは伝えて欲しいのだろう。反対されるかどうかはともかく。
最低、お母様は賛成してれてるから……不安なんて、吹っ飛ばしてやるわ!!
「……リーシャ=コルク=ローザリオン。わたくしは、セシル=アルフガーノ殿をお慕い申しております!」
「……そうか。であれば、公式に許嫁の縁談を進めていくか?」
「! はい!!」
セシル兄にもちゃんと聞きたいけど、こんなチャンスを捨てる理由はないわ!! アルフガーノ家へ出向く日取りを決めて、あたしはうきうきしながら錬金術をレベルアップさせてたんだけど。
「……風邪ね」
「ゲホ!? なんで!!」
楽しみ過ぎて、その日に大風邪を引いちゃったのよぉお!!?
次回は木曜日〜




