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第111話 申し込みの中に(カイルキア視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(カイルキア視点)









 色々面倒だとは思っていたが、そろそろ決着をつけねばならないのか。


 書簡の山のひとつを見ながら、俺はため息を吐いた。ため息をしたくもなる。我が子の許嫁候補への縁談申し込みの山が日に日に増えていくのだから。



「……お疲れですね、カイル様」


「……チャロナか」



 我が妻が息子のディオスを抱えながら、執務室に入ってきた。結婚し、子を二人も産んで八年経ったが……歳を重ねた事もあり、ますます実母である伯母上……いいや、義母上に瓜二つになっていく。一度伯母上が死したあの時と同じように。


 髪もだいぶ伸びたからか、余計にそう見えるかもしれないな。



「……リーシャへの縁談の申し込みですか?」



 俺のデスクにある書簡の山を見て、彼女は苦笑いを作った。チャロナは元王女だが、嫁ぐ前に俺と心を通わせて……リーシャを孕ったタイミングで結婚をした。だから、政略婚等の心配はないが……ディオスを授かるまでは色々プレッシャーがあったからな。


 それが解決しても、今はリーシャが貴族間のいざこざに巻き込まれそうになっているのは、不安そのものでしかない。



「ああ。蹴っても蹴ってもしつこく来るばかりだ」


「ふふ。あの子にはもう心に決めた子がいますのに」


「…………なに?」



 そのような兆し、聞いていないぞ? リーシャ本人からも報告のようなものは言ってきたりしていない……いや、待てよ?



「ふふ。思い出しましたか?」



 チャロナには気づかれたのか、俺が行き着いたことに対して笑顔になっていた。



「……セシルか?」


「ええ。この間きちんと自覚したんですよ」


「……あいつとか」



 親であるフィーガスとは違って、勤勉な上にしっかり者に育ってはいるが……フィルド神が久しぶりに来られた時に、自分の感情を露わにしていたが、あの時か。


 リーシャも慌てて追いかけていたが、あの時に心を通わせたわけではないようだ。チャロナの言葉からすると、リーシャが気づいたのは本当につい最近のようだからな。



「セシルくんもリーシャを想っているようですけれど、当人同士で確かめ合うのを待ちませんか? その書簡の中にフィーガスさんからのお願いはありましたか?」


「……少し待ってくれ」



 ざっくりしか見ていなかったので、改めて探してみたのだが……一番下に、奴からのものがあった。わざわざ寄越したと言うことは、セシルを応援するためもあってと思ったが……中身を見て、相変わらずだなと理解した。



『うちの生真面目坊主が申し込みたいんだと。機会を作ってくれや』



 文面はあいつらしいが、親として考えているんだな。それは俺にも言えるのでお互い様だが。



「ふふ。いかがなさいます?」



 チャロナは母として楽しんでいるようだ。愛娘のために、将来をきちんと考えていくことに尽力は惜しまない。


 やはり、俺は素晴らしい女性を妻に持つことが出来、改めて幸せを噛み締めた。


 ひとまず、この書簡はリーシャが帰ってきてから見せてやろう。

次回は月曜日〜

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