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第109話 元皇子の現在(シュイリン視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(シュィリン視点)









 少し頭を撫でただけで、軽く嫉妬とは可愛らしい。


 だが、目は既に一人前の男そのものだった。チャロナの娘を慕っているらしい……名はセシルと言うフィーガス伯の嫡男。


 彼が既に、リーシャを『女』と見ているとは……子の成長とやらは早いものだ。俺とて、チャロナへの想いを断ってからは……ここと孤児院を行き来することで、妻となった女が出来た。孤児院の職員に就職したケイミーだ。ソーウェン帝国との戦争で戦災孤児になったが、子爵の遠縁の子どもだった彼女は……同じ子爵関係である店長とも縁戚関係である。


 顔立ちは少し似ているが、きちんと想いを交わした今では可愛い妻だ。チャロナにも伝えてあるが……『歳の差婚過ぎない!?』と驚かれたものだ。


 俺の元々の出身地であるホムラ皇国だと二十くらい違っても皇族関係なく普通なのに……チャロナは前世の記憶を持っているから違う感覚を持ったのだろう。子どもは……そろそろ考えているが、まだケイミーに兆しは特にない。


 さておき、リーシャの方も少なからずセシルを想っているようだ。見ていてむずがゆくなるが、そこは当人同士の問題だ。俺が間に入っても意味がない。



「「素敵〜〜!!」」



 そのリーシャは、殿下の近侍殿の御息女であるサリーと一緒に陽光のテラスに入ると、とても喜んでいた。貴族の屋敷にも似たものがあるだろうに、定期的に手入れをしてオーナーやご夫人が談笑する場の多いここを気に入ったのだろう。クッションに腰掛けると嬉しそうにしていた。



「喜んでいただけて何よりです。ハーブティーをお持ちしましたよ。お茶受けはクッキーですが」


「「クッキー大好き!!」」


『みゅ!』


「……ありがとうございます」


「……ありがとう」



 ミラクル様は相変わらずだが、今日は少し違うようにも見えた。なんだか、ほんの少しだけ……受け答えがしっかりしているような?


 何か、心境が変わったことでもあったのだろうか??



「ミュファン。我が姪のリーシャも、我が妹と同じ異能(ギフト)を神より得られたんだ」


「まあ。……以前はなかったようですが」


「色々あってな。孤児院への差し入れの再開したが、メインはリーシャのパンなのだ」


「……そういえば、ケイミーが言っていましたね」


「シュイリンさん、お姉ちゃんを知ってるの??」


「俺の妻だからな」


「「「「えぇえ!?」」」」



 ミラクル様にも伝えていなかったから、子どもたちは全員驚きの声を上げてしまった。やはり……セルディアスでは歳の差が異例過ぎるのか? 子どもにまでこんなにも驚かれるのだから。



「せやでー? こんな無表情野郎やけど、カミさんにはデレデレやで〜」


「っくしょー!? なんで俺はモテないんだ!!」


「そのガタイやろ」


「お前だってゴツくなってきたじゃねぇか!?」



 馬鹿二人はさておき、俺はセシルの方に近づき……伝えることのために耳元で囁いてやった。



『……君の恋路は邪魔しない。リーシャの事は叔父のように接したいと思っているだけだ』


『そ……うですか』



 素直な箇所はあるようだ。これなら、今後の見守りくらいは許してくれるだろう。最後に微笑めば、何故か顔を盛大に赤くされたが……それはセシルだけでなく、他の子どもたち全員だった。


 そんな綺麗な笑顔のつもりはなかったんだが……??

次回は火曜日〜

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