3日目
朝から何も食べてない、負傷兵を出来るだけ救う為に食糧は全部そちらに回した。
偵察兵を無理矢理、抽出して場所をある程度、把握した。そして帰ってきた伝書鳩には書かれていた事は精鋭の第14師団はゲリラによって補給が滞っており苦戦、第56戦車師団は新兵が多い為か肉薄され、手榴弾や爆弾による攻撃で損害を増して撤退、こちらの状況はますます悪化する一途を辿って行った。 そして疲労がピークに達していたのも事実、降伏は政治将校による家族の被害を受ける事を考えて除外、徹底抗戦にて増援を待ち続ける、このまま援軍が来ずに全滅の未来を考えていた。
「敵兵発見!騎兵と歩兵による混成部隊の模様!」
暗い未来の事を考えるのを止め、指揮に専念する事にした。
「散兵戦術を取る部隊は?」
「数が多すぎて分かりません!」
「方陣は被害が出るな…機銃掃射で追い返せ!」
物資が不足気味であるのにも関わらず、弾薬を湯水の如く消費する機関銃、包囲されている状況下ではあまり使いたくは無いが騎兵の突進力は強く、戦線が崩壊する事も考えられる。そんな事を考えずに出し惜しみなく使っている。
騎兵がバラバラに散っている所で砲撃音が聞こえてきた。
「アラン公国って近代的な野砲ってあったっけ?」
その声を聴いたと共に自軍の陣地に砲弾が降ってきた。
「軍曹!伝書鳩に我々の位置を伝えろ!このままだと全滅するぞ!」
「はっ!はい!」
伝令兵である彼は急いで自軍の位置を書かせている。
自軍の砲撃だとすぐに気が付いた、アラン公国は支援砲撃を行える程のカノン砲を装備していないがその理由は単純に生産ラインが無い事や輸入した物を使う技量が無い事、そして基本的な戦術が戦列歩兵を主軸にしたゴリ押し戦法を使う事だった。そのゴリ押しが60年戦争(第一次世界大戦)において奮戦した事があってか今でも行われている事から結果、帝国軍の砲撃だと分かった。
「伝書鳩を飛ばしました!」
しかし砲撃が止むことは無い、敵兵はやってこないのは良いが初期対応の遅さが災いしたのか砲撃によって死傷者が出ている。
「まだ止まないか!撃たれて墜ちたか?伝書鳩をもう一回飛ばせ!」
「はい!」
彼がもう一度、伝令書いて、伝書鳩を放ったが、しかし砲弾が止む事は無かった。
「最後の伝書鳩を飛ばします!」
その数分後に砲撃が止んだ、自軍から砲弾が降ってくる事は無くなった。そして混乱の最中に敵は撤退していた。
この事は防げていた、敵に自陣を知られるのを恐れていた事もあって最初は曖昧な場所を書いていたのが災いした…。その事を咎める人はいなかったが死傷者を多く出してしまった事に精神的に苛まれていく彼だったが更に追い詰められる自体が次の日にも出てきた。 死者66名、負傷者53名、残りの戦力は348名。




