その12 律、リツメイヤと通信する。
ウェティウス様がリツメイヤの事
気にしてるよ。
まあ、か弱いけど私より筋力あるし。
しっかりしてるから大丈夫だと
思うけどね。
『お母様、元気ですよ。』
リツメイヤがキラキラとした目で言った。
「うん、良かったよ。」
私は言った。
グーレラーシャの大型ワンコは
一応閉め出しておいた。
ウェティウス様がいると話しづらいこともあるし。
「ファルディアス皇太子殿下は優しい?」
私が聞くと娘は大型通信機の向こうで赤くなった。
...まだ幼い娘に何してるんだい?
『ファル様は優しいです。』
リツメイヤが言った。
うーん、早まったかも。
正式な婚姻は成人の30才
過ぎてからなんだけど。
嫁入り同然だからね。
「皇妃様、出してくれる?」
ジェスちゃんに様子を聞こう。
『はい、お母様。』
リツメイヤは皇妃の方につないだ。
「ジェスちゃん、忙しいのにごめんね。」
私は言った。
『大丈夫だよ!昼の忙しい時は過ぎたし!』
ジェスちゃんのむこうには小料理屋の
店内が見えた。
「繁盛してるみたいだね。」
私は言った。
『うん、お陰さまで...なんかよう?リツメイヤちゃんはいい子だよ、小料理屋も手伝ってくれるしさ♪』
ジェスちゃんが言った。
うん、小料理屋業務が皇族の本業って聞いたから
料理とか掃除とか配膳とか仕込んだからね。
グーレラーシャのレストランで
ボランティアなアルバイト(つまり無料)
させてたし。
警護官3人つけてね。
レストラン『デリュスケシの海辺』ってところで
魚料理が食べられるんで通ってるよ。
ご飯もでるし。
カザフ外務担当官が出資してるらしい。
戦闘文官直伝☆デリュスケシ名物唐揚げ弁当
効果で最近魚食べる人も増えたしね。
『ファルディアスがさあ、家にかえると抱き上げちゃって離さないんだよね。』
ジェスちゃんが言った。
わー、甘甘の関係なんだ。
「新婚生活みたいなの?」
まあ、間違いなくそうなんだけどさ。
『うん、そう息子夫婦?の部屋にちかずけないよ。』
ジェスちゃんが言った。
わー、スゴすぎ。
『律ちゃんとウェティウス国王陛下みたいだよ。』
ジェスちゃんが言った。
...え?ウェティウス様と私はそんな駄々アマじゃないよ。
今日なんて、ほっぽりだして通信中だし。
「別にうちは普通だけど。」
私言うとジェスちゃんがひきつった笑みを浮かべた。
『あれで、普通なんだ。』
ジェスちゃんが言った。
「普通だけど。」
私の常識おかしい?
『ま、いいや、息子夫婦?はなかいいし♪その内孫ができるんじゃない?」
ジェスちゃんが言った。
やっぱりファルディアス皇太子殿下は
リツメイヤと仲良くしているようだ。
もう一度リツメイヤにつないだ。
「リツメイヤ、無理はしちゃダメだからね、嫌なら、ウェティウス様と迎えにいくからね。」
大事な娘のためならヌーツ帝国と
仲が悪くなっても仕方ないし。
『お母様、私、幸せだから大丈夫です。』
本当に幸せそうにリツメイヤが笑った。
そうか...幸せなんだ。
なら、お母様は言うことないよ。
「うん、良かったよ、また、通信するね。」
私はそういって通信を切った。
「どうであった?」
ウェティウス様がいつの間にか中庭サイドから来てた。
そういえば、窓は閉めてないしね。
「幸せだってさ。」
私は微笑んだ。
私も幸せだよ。
こんなに沢山の子供や
愛するウェティウス様と
一緒にいられて。




