グーレラーシャの獅子親伝2
エルデアス皇子殿下との縁談はよいと思うが。
リエスディアは気に入らぬようだ。
「律、エルデアス皇子殿下はリエスディアの婿によいと思う。」
私は抱き上げた律にささやいた。
「リエスディアがラース様の事好きなの知ってるよね。」
律が抱きついてささやいた。
目の前にはヌーツ皇帝家族がいるからな。
「歳が違うしラース様は孫がいるぞ。」
私はささやいた。
「でも、奥様はもういないし、リエスディアの単なるあこがれかも知れないし。」
律がささやいた。
「様子を見るしかないか?」
私はささやいた。
「そうだねぇ……そうするしかないよね。」
律がささやいた。
「ジェイア、ああしたい。」
皇帝が言った。
あそこは甘さが足りないからな。
「ええ?いやだよ、エルデアスもいるし。」
ジェスレイア皇妃が言った。
「べつにいいんですよ、母上。」
エルデアス皇子殿下が分別がましく言った。
「そういえば、リエスディア王女殿下と婚約したら、僕も抱き抱えないとなのでしょうか?」
エルデアス皇子殿下が言った。
「そうだな、そうかも知れない。」
皇帝がジェスレイア皇妃を抱き上げようとして避けられた。
今回はあの隙のない護衛官はついてきてないようだ。
「イーリノエス伯父さん...黙って鎖の準備しなくていいから。」
エルデアス皇子殿下が
気配のない護衛官に言った。
確かに、天鉱合金の鎖を出してるな。
「ビー兄上に言われた、ジェスが統一皇帝陛下の御意向にそわなかったら拘束するように。」
護衛官は静かに言ってジェスレイア皇妃に
向かった。
「イーリノエス兄ちゃん、やめて。」
ジェスレイア皇妃が言った。
「おとなしく御意向に従うか?」
イーリノエス護衛官が言った。
「わかったよ、まったく恥ずかしいよ。」
ジェスレイア皇妃が仕方なさそうに
皇帝に抱き上げられた。
「やっぱり、恥ずかしいんだ。」
律が呟いた。
「律。」
私は律に口づけた。
相変わらず甘い唇だ。
「見てられませんね。」
エルデアス皇子殿下が
リエスディアに言った。
「...グーレラーシャ人なら、普通です。」
わが娘は冷静に言った。
「では、リエスディア王女殿下も抱き上げられたいですか?」
エルデアス皇子殿下が言った。
「好きな人なら当たり前です。」
リエスディアは言った。
「鍛えた方がいいのかな?」
エルデアス皇子殿下が言った。
「いいえ、結構です、私と婚約しませんから。」
リエスディアが微笑みながらも笑ってないと言う高度な技を使った。
わが娘は頭がいいからな。
「国の利益を考えての発言ですか?」
エルデアス皇子殿下も微笑みながらも笑ってないと言う高度な技を使った。
すごいな、互角だ。
「ヌーツ帝国の援助が無くて困るような、グーレラーシャ傭兵国ではありません。」
リエスディアは言った。
「絆は必要だとおもいますよ。」
エルデアス皇子殿下が言った。
皇子はリエスディアの事が好きなのか?
「絆が今もあります、それに私と殿下が婚約しなくともよいのではありませんか?」
リエスディアが言った。
「今以上の絆ですよ。」
エルデアス皇子殿下が言った。
「機会があれば結べる人材が生まれるかもしれません。」
リエスディアが私達と
皇帝夫妻を見て微笑んだ。
「リエスディア王女殿下は縁談を受けないと言うことですね。」
エルデアス皇子殿下が言った。
「ええ、今回はです。」
娘は先伸ばしにしてうやむや作戦のようだ。
「本当にリエスディアってラース様が好きなんだね。」
律が呟いた。
ラース様が婿に来る日も近いのだろうか?
リエスディアとはつりあわないお歳なのだが。
出来れば、エルデアス皇子殿下のような、歳の合う人を伴侶に求めてくれればよいのだが。
リエスディアは律ににて可愛いのだから。
男親的にはまだ伴侶はきめてもらいたくない、いつまでも私の娘でいてほしい。




