グーレラーシャの獅子親伝1
ヌーツ帝国の統一皇帝から親書がきた。
律と相談せなばなるまい。
「え?ファルディアス皇太子とリエスディアの縁談?」
律が言った。
「イェティウスが生まれてから、王女はもう、跡取りではないと思ったようだ。」
私は言った。
ヌーツ帝国は変わっていて
最初に生まれた男があとをつぐらしい。
なぜ、性別関係無く継がせぬのであろう。
面倒が少ないと思うが。
「リエスディアは跡取りだしダメだよね。」
律が言った。
むろん、そうだ。
世嗣ぎを代えることは本人も
未来の側近たちも
混乱させることになる。
「リエスディアは次代、グーレラーシャの国王なのは変わらぬ。」
私は言った。
「...断るしかないね、ジェスちゃんと親戚になれればよかったけど。」
律が言った。
「では、娘が生まれたらでいいではないか?」
私は言った。
「そんな不確かな事約束できないよ。」
律が言った。
「生まれぬ時は恨みっこなしにしておけばよい、最悪、ヌーツの皇子を婿にとればよい。」
私は言った。
「婿か...リエスディアはラース様の事が好きなんだよね。」
律が言った。
「リエスディアはまだ、子供だ、ラース様のことは孫が祖父上様をしたう程度であろう。」
ラース様とリエスディアでは歳が違いすぎる。
「そうだよね。」
律がひきつった笑みを浮かべた。
よっぽどリエスディアはラース様が好きらしいな。
ヌーツ帝国の皇太子は無理だが、
リエスディアに歳の合う相手を
探しておくのがよいかもしれん。
「ジェスちゃんは元気なのかな?」
律が言った。
ジェスレイア皇妃か...。
「ああ、元気のようだ。」
皇妃の親書には一筆もあって力強い字だった。
ヌーツ帝国とはなるべく仲良くしていきたい。
「イェティウスがお嫁さんもらっても良いよね。」
まだ、赤子のイェティウスを見ながら律が言った。
「あちらに皇女が生まれればよい案かもしれぬ。」
私はイェティウスを抱いてる律を抱き上げた。
幸せだ。
私こそ、政略結婚をヒフィゼ家のジャスミナ嬢とする思っていた。
律が落ちてくる前はたしかにヒフィゼ家のジャスミナ嬢が伴侶の最有力候補であった。
ドーリュムに娘がいない以上仕方ないと思っていた。
律と出会えて良かった。
私は幸せだ。
私は律に口づけた。
律、いつまでも
一緒にいてくれ。
リエスディアが
王位を継ぎ私が戦場に
戻っても一緒にいてほしい。
そなたを守るから...。
頼む律。




