その20 律、ウェティウス様と手をつないで観劇へ。
やっとウェティウス様を説得しました。
観劇デートだよ。
公務だけどさ。
「抱き上げてはいけないなんて。」
ウェティウス様がぶつぶついってる。
でもさ、クレシア芸術国からさ。
王太子殿下が来てさ。
しかもクレシア王立歌劇団が来たんだよ。
少しは華麗にエスコートしてほしい。
「ウェティ!相変わらず麗しいね。」
クレシア芸術国?王太子殿下ミシェル様が
ウェティウス様に声をかけた。
ミシェル王太子殿下はウェティウス様と同じ金髪に水色の目だ。
ウェティウス様の伯父様なんだって。
「伯父上様、ご健勝そうで何よりでございます。」
ウェティウス様が一瞬私の手を離してグーレラーシャの礼をして
くせで抱き抱えようとしたのでよけた。
「律、すばしっこいな。」
確信犯かい。
「ウェティウス様、約束は?」
私は言った。
もし、耐えたらすきだけ
お布団の中でイチャイチャ
をエサにしました。
...私、死ぬかもね。
「わかっている。」
ウェティウス様が顔をしかめた。
「あなたがウェティの妻の律さん?」
気がつくとミシェル王太子殿下にガン見されていました。
「はじめまして、律・グーレラーシャです。」
私はグーレラーシャの礼をした。
「...異世界の賢い黒ウサギさんか。」
あー、そのフレーズ久しぶりです。
「グーレラーシャの賢い黒ウサギです、伯父上様。」
ウェティウス様が言った。
「うん、わかってる、今回の歌劇は異世界の賢い黒ウサギさんがモデルで『異世界人の猫の夢』って言う作品だからね。」
ミシェル王太子殿下が言った。
私がモデル?
モデル料とろうかな?
「では、行きましょう。」
ウェティウス様が華麗?に私の手を若干握りぎみにエスコートした。
王立劇場のロイヤルボックスに
ウェティウス様とミシェル王太子殿下が
あらわれると歓声が起こった。
まあ、二人とも麗しいしね。
やっぱり、私、引き立て役でだよね。
「律様~、こっち向いて~。」
物好きが言ったので声のしたほう向いたよ。
「いやー、可愛い~。」
「律様~。」
な、なにあの一団?
しゃ、写真撮られてる?
「グーレラーシャの賢い黒ウサギは人気者だね。」
ミシェル王太子殿下が微笑んだ。
「そうですね、律は可愛いですから。」
ウェティウス様が言った。
「今日は抱き抱えられてないのね、残念。」
誰かが言った。
聞かなかった事にしよう。
歌劇が始まった。
ねぇ、どこでこんなに個人情報もれたのさ。
私じゃなくて、主人公にマツ(時代劇みたい。)が
カータンシキ魔王国に誘拐なんてあんまり
しられてないとおもうんだけど。
ゼルダウス国王陛下と結ばれたがゆえに
起こる王宮の反発~。
は絶対無かったけどさ。
「素晴らしい、歌と踊りでした。」
ウェティウス様が言った。
外交だしね。
「マツが素直になるところなんて最高だよね。」
ミシェル王太子殿下が言った。
「...素晴らしかったです。」
それしかいえないよ。
恥ずかしいよ。
ウェティウス様が最後まで
抱き上げずに頑張ったので
イチャイチャしないとなんだよね。
なんとか体力温存しないと。
でも、ウェティウス様のエスコート
素敵だったなぁ。




