幕間 王宮料理人のサトリ
律様がヌーツ帝国の皇帝夫妻に
グーレラーシャ料理はしょっぱいすぎると思う
と言われた。
「でも、グーレラーシャ料理を食べてもらいたいんだよな。」
オレは呟いた。
「塩分を半分...いや1/3にするか?」
しかしそれをグーレラーシャ料理と言っていいのだろうか?
私は長年、グーレラーシャ王宮で厨房をまかされてきた。
王宮料理長だ
。
「アレンジですよ、日本人得意なんです。」
飴を納入にきたギーデル飴屋の店主に相談した
店主は各国の料理に若いのにぞうけいがふかいと評判だ
店主が言った。
「日本人は律様だか。」
確かにアレンジと思えばいいのか?
「伝統に裏打ちされたアレンジメニュー、最高じゃないですか。」
なんか怪しい宣伝みたいな事いわれた。
でも、やってみるか…。
律様には陛下に野菜をたべさせてもらった恩があるし…。
とりあえず塩の量を減らして…。
「どうだ?」
部下に試食させた。
「…味が薄いです。」
そうだよな…。
律様に食べさせてみるわけに…。
やるか?言いだしたのは律様だし。
「…美味しいよ…美味しいけどこれ以上試食むりだよ。」
はりきりすぎて作りすぎたようだ。
「…味がない…。」
律様を抱えてきた陛下が言った。
「ええ?あるよ、素材の味が生きてて美味しいよ、ウェティウス様。」
律様は絶賛されたけど…。
私のプライドがな…。
「では、手間でなければ塩分の薄いものと通常のものをつくったらどうだ。」
陛下が律様のお腹を撫でながらいった。
食べ過ぎて痛いそうだ。
「塩分…薄くて大丈夫なのに…。」
律様は少し苦しそうに言った。
試食全種類してくださったからな。
「料理長の良いようにせよ。」
陛下はいって下さった。
なのに…。
「鶏のピラフ詰めのレシピおしえてくだい。」
ヌーツの皇妃様はキラキラした目で言った。
そちらは減塩の方ですがいいんですか?
「この干しブドウ詰めの豚肉ロールも教えてください。」
そっちも減塩バージョンです。
「旦那さん喜ぶよね。」
ヌーツの皇妃は満面の笑みを浮かべた。
旦那さん?
「ジェスちゃん味いかがでした?」
律様が聞いた。
「おいしかったよ。」
ヌーツの皇妃は言った。
結局…減塩バージョンばっかしうれた。
「料理長、美味しいです。」
律様がほほ笑んだ。
律様が言うとおり外国人は薄味なんだな。
…料理の世界は奥深いな…。
もっと精進しないとな。




