幕間 内務担当官の一人言(ゲミギューダ・ニノミ)
やっと、御生誕祭が終わりました....色々な事がありましたが、内務担当室も今日から通常営業ですね。
「律、ヒエギデルの豆の生育がやはり悪いようだ。」
陛下がドーリュムさんを抱き寄せて言いました。
「そうですか、わかりました、いちいち抱き寄せないでください、仕事中です。」
ドーリュムさんは陛下から逃れようと抵抗しました... さらに抱き込まれてますね。
「近いうちに視察に行く、律も同行せよ。」
そう言うと陛下はドーリュムさんに口づけをしました...ああ、一人身のボクには辛いですよ。
資料室の整理をしていますね、ドーリュムさん、最近、綺麗で資料が探しやすいです♪
「ドーちゃん、環境調製師って、基本、精霊の話を聞いてするの?」
サリュウスさんが聞いています、それ、ボクも知りたいです。
「大体そうですけど、土地神様とか、土着の妖怪族さんに話を聞くことも有りますよ。」
土地神様?妖怪?何か、ちょっぴり怖いですね。
「農地限定なの?」
サリュウスさんが聞きました、農地限定っぽいですよ。
「違いますよ、村空間、町空間、都市空間もしますし...自然空間は魔王さんの指示の基で行いますけど。」
魔王?何で魔王が?魔王島から余り出てきませんよね、自然空間の調製業務がドーリュムさんの世界の魔王の仕事ですか?
「魔王って、何してるかわからない存在だったけどそう言う事してるのね。」
サリュウスさんは関心して言った。
「うちの世界の魔王さん達はですけど...他の世界だと、精霊王がしてるそうですね、効率的じゃないな。」
その辺のところはプロじゃないのでわかりませんが興味深く聞かせていただきました。
「そうなの?...視察は来週始めに入れるから予定にいれといてね、あなたの尊い犠牲は忘れないわ。」
サリュウスさんはドーリュムさんの手を握って言いました、陛下の暴走止められるのドーリュムさんだけですもんね...御生誕祭の一幕も聞いてますよ。
「視察は楽しみにしてますね。」
少しひきつった笑顔でドーリュムさんは言いました....頑張ってください。
「これ、ウェティウス様の若い頃ですか?」
ドーリュムさんがお宝写真を発掘したようです。
「あら、初陣の写真かしらね。」
サリュウスさんが言いました、見てみましょう。
今より若い陛下がたて襟の黒い膝丈の長衣、グーレラーシャの赤い色のマント、ズボン、手甲に額当て...胸当てですね...いつもの一本みつあみの中にも、武器を潜ませているそうですが、より太く首を守るように編み込まれた髪型の中にもなにか入ってそうです...そして、今もお持ちの剣がやっぱりピカピカですね...使い込まれ感なし?ま、傭兵学校時代は学校の備品使いますからね、大きい武器はとくに。
「30才だ、それは、確かに初陣だ。」
陛下が乱入しました。
「陛下、お若いですね。」
ボクがいうと、まあなと陛下は言った。
「この時代はみんな、自信満々じゃないか?私は何でも出来ると思い勝ちだ。」
陛下は苦笑して言った、なにか失敗したんですかね。
「休憩でもしますか?ウェティウス様。」
ドーリュムさんが言いました。
「律、そなたの若い頃はどうだった?」
ドーリュムさんも陛下も充分お若いじゃないですか...また、ドーリュムさん、膝の上だし。
「うーん、環境調製師になるために高校生だったよ、成熟遅くて、なかなか、高校生になれなくて小学校と中学校は20代ですんでたけど30才になってやっと見た目が追い付いたんだよね。」
ドーリュムさんも苦労...今もしてますね、首にキスマークついてますよ。
「そうか、私は、自信を持ちすぎてもう少しで死ぬところだったな、敵の意図も読めず、深追いして。」
そう言えば、大怪我報道ありましたね、お世継ぎ様重傷みたいな。
「若いと色々な事があるんだよ、経験を元に今度は失敗しなければいいんですよ。」
ドーリュムさんが手を伸ばして陛下の頭を撫でた。
「律!」
わー、抱き込まれた、キスしてる。
「癒されてるみたいね、ドーちゃん、屍は拾うわ、ゴメンね。」
サリュウスさんが言いました...本当に大丈夫かな?
「陛下、そこですぞ♪」
ガナリス内務担当官長が帰って来ました。
「ウェティウス様、仕事に戻るので離してください。」
ドーリュムさんは言いました、さっきも胸元にキスマークつけられてました...野獣ですね、お菓子は口移しだし見ていられません。
ドーリュムさんは隣接の資料室に戻っていきました。
「律、可愛いな♪」
嬉しそうに呟いて陛下は仕事を再開しました。
この甘い雰囲気に耐えてるお陰で、ドーリュムさんの犠牲のお陰で仕事が前よりはかどっているんです、だから、ドーリュムさん、末長く、陛下のお側にいてください、お願いします。
明正和次元の魔王さんのお仕事は『紫世界の魔王様』に書きました、よろしければごらんください。
阿野根の作者




