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高校時代にタイムリープした僕は、絶縁した幼馴染にただ幸せになって欲しいだけだった。  作者: ミソネタ・ドザえもん
告白をやり直す。

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前哨

仕事の疲労と展開浮かばずで投稿ペースがガタ落ちする予報です。

予報ではなく既に昨日サボってるやんとか言わないで。

 試合開始に先立ってでのじゃんけんの上、僕達は後攻めとなった。

 先の守備のため、僕達が各々のポジションに向けて駆けだした。

 僕達チームのポジション決めはクジにより決められたものだったが、幸運なことにセカンド、ショート、キャッチャーに経験者である吉村君、村田君、内川君が収まった。


「ファースト送球は胸あたりに投げるようにするからなー」


 ショートに立つ内川君がありがたいことを言ってくれた。期待してくれていると言っていたが、なんだかんだこちらが素人ということは理解してくれているらしかった。


「プレイボール」


 そんな審判の掛け声で、ピッチャーである板野君がボールを投じた。

 そこそこの球速が出ているそこそこの制球力のボールに、三年生チームは三者三振だった。


「俺達には打てねえな」


 そんな泣き言を言いながら、攻守交替。


「板野お前、運動神経めっちゃいいな」


「そんなことねえよ。野球部の先輩相手にはやられるだろうなあ」


 一年にしてサッカー部エースに収まる男の快刀乱麻。にも関わらず謙遜する板野君は、やはり出来る男だと思わざるを得なかった。

 そんな板野君は先頭打者として打席に立ち、見事ヒットを放って見せた。右中間を抜ける大きな当たりは、三塁打になった。


「アイツ、マジでなんでも出来るな」


 舌を巻く村田君に反して、三塁上で板野君は頭を抱えていた。


「もうちょい飛ばせてたら一点取れてたー」


 優勝が目標だと位置づけたものの、なんでも出来る彼に僕達は最早、若干白い目で見る始末だった。


「あの人、野球部?」


 二番打者、櫻井君の打席を傍観しながら、僕は隣にいる吉村君に尋ねた。


「いいや、でも結構球速いな。経験者かもしれない」


「なるほどね」


 野球くらい国民に根付いたスポーツとなれば、高校まで続けておらずとも経験者はいるだろう。確かに、そこまで考えが至っていなかったことに僕は気が付いた。


「コントロールも結構まとまっているし、初心者だと打ちづらいだろうなあ」


 吉村君の言葉通り、櫻井君は三振に切って取られた。


「徳井、ネクストに」


「うん」


 ヘルメットを被りながら、僕はネクストバッターサイクルに歩いた。バットを振りながら、三番の浅田君との対戦を見ていた。

 相手のピッチャーの投げる球は、ストレートだけに見えた。

 今の時代はリトルリーグでも変化球禁止らしいし、その兼ね合いで変化球は投げれないのかもしれない。


 ただとにかく、相手ピッチャーの球は結構速く、コントロールも良い。


「セカンドー」


 浅田君はバットに当てるものの、打ちあげてしまった。

 セカンドがフライをキャッチし、ツーアウト。


 折角のノーアウト三塁が、気付けばツーアウト三塁になってしまった。


 僕はゆっくり打席に入った。


「徳井、頑張れよ」


 チームの声援が耳に届いた。

 その声援に応えたい。

 僕は少し身震いをして、バットを構えた。


 セットポジションからの初球。


「ストライク」


 バットを振るも、空振りだった。

 速い。

 バッティングセンターで手が出なかった百二十キロと、ほぼ同等の速度を体感した気がした。その球速が、僕がバットに当てられるかどうかのボーダーラインだった。


 どうしよう。

 困惑した僕だったが、こういう時こそ岡田君のアドバイスを思い出すべきだと思った。


 ……えぇと。

 バッティングに対する岡田君のアドバイスは。


『ようし、いいぞ。良い感じじゃん』


 だとか。


『バッティングは問題なさそうだな』

 

 だとか。

 あ、ろくなのないじゃん。


 ファーストに任命されたこともあって、最終的にバッティング練習は疎かになってしまった。最初のあれが、僕と岡田君のバッティングの練習の成果全てだった。


 どうしよう。

 一旦バッターボックスを外して、屈伸しながら僕は考えた。


 相手のピッチャーの球速は打てそうもない速さ。

 でも、初回のこのチャンスはなんとかものにしたい。


「修也ー、なんとか塁に出ろー」


 聞こえてきたのは、三塁から叫ぶ板野君の声だった。

 なんとか塁に。

 確かにそうだ。

 僕の仕事は先制点をチームに与えることではない。それは結果論の話であり、このチームの一員として、優勝を目指すチームの一員として僕がすることは、それじゃないはずだ。

 僕がすることは、塁に出ること。

 後ろにつなぐ事。


 バッターボックス内。

 僕は、白線に足が乗るくらい、目一杯インコースでバットを構えた。

 一瞬、相手ピッチャーの顔が歪んだのがわかった。


 一か月散々岡田君のノック練習を受けてわかったことがある。


 それは、軟球は当たっても痛いことは痛いけど、ただ思ったよりかは痛くないこと!


 これだけインコースに構えれば、仮にインコースに投げても死球になる可能性も増すし、そもそもインコースになんて投げづらいだろう。

 そうなれば、配球は自ずとアウトコースに偏る。


 カキン


 コースを絞れれば、この球速の球でも打てる可能性は広がる。

 その考えはピタリとかち合った。

 アウトコースの打球をバットに当てて転がすと、飛んだコースが良かった打球は一、二塁の間を抜けた。


 先制点は僕達のチームに舞いこんだ。


「よっしゃー」


 声援が歓喜の声に代わり、僕もそれにガッツポーズで応えていた。

 僕達の初戦は、この一点を皮切りにこの後三点を追加し、四ー一でそのまま逃げ切って勝利となった。

 

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[良い点]  更新してくれるだけで感謝。 [一言]  野球回だ!
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