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高校時代にタイムリープした僕は、絶縁した幼馴染にただ幸せになって欲しいだけだった。  作者: ミソネタ・ドザえもん
告白をやり直す。

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49/65

買食

すいません…。

昨日は三話しか投稿出来ませんでした…。

この作品の良いところなど投稿頻度しかないのに…。

本当、すみません…。


 夕飯前のファストフード店はたくさんの人で盛況だった。

 ポテトとハンバーガーを注文した僕は、手早く母親に今日の夕飯は要らないと連絡をいれた。母からわかった、と連絡が返ってくるのにそう時間はかからなかった。


「何、小日向さんとでもメッセージしてんの?」


「いや、母さん。今日夕飯要らないって」


 言ってから、高校生にもなって親と仲睦まじいこと、だなんだと茶化されそうだと僕は思った。


「そっか。そういう連絡はキチンとしろよ」


「うん。茶化したりしないんだ」


「何を」


「高校生にもなって親と仲が良いなんて気持ちわりい、とか」


「は? 家族間の仲が良いことは素晴らしいことだろ。腹を痛めてまでお前を生んでくれた人はこの世にたった一人しかいないし、お前達に家族サービスしてくれる父親もたった一人しかいないんだぞ。そんな人達を煙たくなんて思うなよ」


 ごもっとも。

 思春期にこういうことを恥ずかし気もなく怒れるところが、岡田君の良いところなんだろう。


「まあ、僕は別に両親のことを煙たく思ったことはないけどね」


 最近は。

 前回の時間軸での高校時代はどうだったか。それはもう、岡田君の叱責を受けるような人だっただろう。

 でも僕は、そう恥ずかし気もなく言った。これは、見栄を張った、というやつだ。


「じゃあ、俺がそうだって言いたいの?」


「……まさか」


 さっきの台詞を聞いておいて、そんなことを思うはずがない。


 岡田君は怪訝そうな顔をした後、ふうとため息を吐いた。これ以上の問答は無駄だと思ったのだろう。


「岡田君、君の分のハンバーガーはいくらだった?」


「は?」


「払うよ。練習付けてもらうお返しだ」


 岡田君はムッと顔を歪めた。


「馬鹿言え。俺は施しを受けたくてお前に野球を教えるんじゃない」


「そうは言われても、そうしてくれた方が僕も気持ちよく君に練習をしてもらえるんだけど」


「そんなのお前の勝手だ。俺は絶対に金は受け取らない」


 暗めの茶髪をした少年が、意固地になってハンバーガーを齧った。


「……ピクルスは苦手」


 ハンバーガーから顔を出したピクルスを、岡田君は紙ナプキンの上に置いた。


 僕は黙った。

 施しを受けようとしてくれず、ピクルスを紙ナプキンの上に置いた岡田君に、僕の都合通り動いてくれない人だと呆れたのだ。

 でも、彼のしてくれていることは、本来僕からして全てありがたいこと。


 本当、彼は良い人だ。


 結論、僕はそう思って彼に微笑んだ。


「なんだい、気持ち悪い」


「僕は良い親友を持ったな、と思っただけだ」


「それが気持ち悪いって言ったんだよ。わかる?」


「わかる。わかるよ」


「わかってねえ顔だからな、それ」


 呆れたように、岡田君がため息を一つ吐いた。


「……やっぱ、お前に野球の練習を付けるの、止めようかな」


「おいおい、それは困る」


「もっと困れば良いと思ったから言った」


「……前言撤回するぞ?」


「だー、わかったわかった」


 岡田君は、食べ終えたハンバーガーの包みをトレイの上に丸めて置いた。


「じゃあ、せめて聞かせろよ」


「何を?」


「お前が、突然出来もしない野球を頑張ろうと思った理由」


「球技大会の種目だから」


「じゃあ、一軍に入った理由はなんだよ」


「皆の期待が重かったから」


「だー、お前は面倒な奴だなっ!」


 周囲に迷惑がられるくらいの大きな声で、岡田君は叫んだ。

 すいません、すいませんと謝る彼を見ながら、僕は考えていた。

 まあ、岡田君が僕から引き出したい話は理解していた。

 つまり彼は言いたいわけだ。

 僕には逃げる道があっただろ、と。確かにその通りだ。


 素人ながらに一軍に入った今回、僕には逃げる道があったはずなんだ。

 野球は素人なんだ。誰か変わってくれよ。

 周囲の期待を無視するなら、いやむしろ周囲の期待を感じたからこそ、僕は本当に駄目だと思ったならそうするべきだったんだ。

 出来ないことを出来ると偽って、話が好転することは滅多にない。


 そうつまり……失敗してからでは遅いのだ。


「出来ないことに挑むことが成長に繋がると思ったんだ」


「あん?」


「僕は出来ないことが多い。だから、挑戦して失敗してでも成長の糧にしようと思った」


 それが、噓偽りない僕の気持ち。


「じゃあ、成長したいと思った理由は?」


「黙秘」


「ははあん」


 痛いところを突かれ、僕は黙秘を行使しハンバーガーを食べ始めた。

 それからしばらく、僕は色恋沙汰を楽しむ岡田君にウザ絡みをされるのだった。

岡田君が作中一番のお気に入りキャラになりつつある。設定の生真面目さ相まって、本当に良い子やし弁えてる。

でも報われない。

家族のこと慕ってたり、落ち込んだ人を見過ごせなかったり、本当良い人。


でも、報われない!


評価、ブクマ、感想、レビューなどなど頂けますと大変嬉しいです。何卒よろしくお願いします。日間ジャンル別6位。なんとか粘りてぇ…。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  岡田氏、ホントに高校生か?  えらくまとも過ぎる‥‥‥あれまともで何も悪くないよな?  この手のキャラクターは「色」を出すためか突飛な性格だったり逆にスポイルされた聖人君子だったりするか…
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