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高校時代にタイムリープした僕は、絶縁した幼馴染にただ幸せになって欲しいだけだった。  作者: ミソネタ・ドザえもん
告白をやり直す。

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依頼

「え、何? お前、もしかして野球出来ないの?」


「うん。野球のきの字も知らないくらい、てんで素人だ」


「やは知っているのかよ。えーっ、そうなの? 俺、球技大会でお前の鼻を明かしてやろうって意気込んでたのに」


「そうだったんだ」


「興ざめだー。張り合いねー」


「じゃあ、張り合いつくつらいに僕に野球を教えてくれるのはどうかな?」


 僕がそう提案すると、岡田君はわかったと返事をした。


 以上、完。


「ねえねえ紗枝ちゃん」


 背後から、恵美さんの声がした。


「この二人、いつもこんな感じなの? しょうもない会話だなって思って」


「うん。いつもこんな感じだよ」


「えー」


「きっと、斜に構えた言い回しが面白いって思っている年頃なの。あたしの顔に免じて、見逃してあげてくれない?」


「わかった」


「聞こえてるから。全部。つつがなく」


 アハハ、と紗枝が笑った。

 僕達の会話を斜に構えたと評したが、大概紗枝もその気があるぞと言ってやりたかった。


「それにしても岡田君、僕に練習付けるの、良いんだ」


「良いよ別に。減るもんでもない。そもそも逆に、自分から提案しておいて、なんで驚いてるの」


「確かに」


 納得しかけて、僕は首を振った。


「いや一応、僕達球技大会当日は敵同士だろ? 敵に塩を送るだなんて、そんなことバレたらチームメイトに怒られるんじゃない?」


「そんなの関係ねえよ」


 あっけらかんと、岡田君は続けた。


「だって俺達、親友だろ?」


「……岡田君」


「ごめんなさい、岡田君。あたし、あなたのこと誤解してた」


「今度から君のこと、ツンデレって呼ぶよ」


「いやそれ今と変わってねえから」


 アハハと笑って誤魔化しながら、僕は岡田君の性格の良さに感謝をしていた。

 本当、あまのじゃくな性格をしているのに、根は良い人だ。

 文化祭最終日の時もそうだった。彼のおかげで僕は、後悔したくないと思うようになり、そうして今、紗枝と結ばれたいと思うようになった。


 恵美さんも同様だ。

 彼女は僕から、岡田君の受け売りの言葉を聞いて、一つの決心をした。


 彼の真っすぐであまのじゃくなその精神が、僕達にかけがえのないことを教えてくれた。


「それで最初の話に戻るけど……修也お前、野球出来ないんだ」


「うん。てんで素人だ」


「へえ、なんか意外」


 そう言ったのは、恵美さんだった。


「文化祭実行委員の時といい、智恵達にした時のことといい、なんだか徳井君、全部上手くこなせるイメージを勝手に持ってた」


「な。多分、皆そう思っているぜ?」


「皆って、大袈裟な」


「大袈裟なもんか。最近俺、お前のこともっとよく教えてくれって色んな女子から聞かれる」


「は?」


 紗枝の冷たい声が響いた。


「……ま、まあ。俺はそういう他人から人の情報得ようって考えが好きじゃないから、絶対に、何を言われようが答えないんだけどさ。そういうの、自分で向き合って感じたことだから意味があると思うんだ」


 怯えながら岡田君が言う。

 本当に彼は、良い人だなあと思った。


「岡田君って、もっとちゃらんぽらんな人だと思ってた」


 そう言うのは、恵美さんだった。


「間違ってねえよ。見た目もそうだし、勉強もそこまで出来ないし」


「……大人だね」


「なんだよ、さっきから気持ち悪いぞ、近藤さん」


「ふふっ、本当にツンデレさんなんだね」


 微笑んだ恵美さんに、岡田君は顔を真っ赤に染め上げた。

 僕は今、なんだか居た堪れない気持ちになりつつあった。


「し、修也。この後マック行こうぜ」


 岡田君は、捲し立てて言い出した。恐らく、自分が褒められるこの場の空気に馴染めなかったのだろう。


「そこで作戦会議だ。俺に任せろ。俺に任せれば……お前はシーズン六十二本ホームラン打てるくらい、強打者になれる」


「いや刻むな」


 そうツッコむが、照れた岡田君はそんな言葉を無視して僕の手を引っ張った。

 僕と岡田君は、紗枝達と別れを告げてファストフード店へと向かった。

評価、ブクマ、感想よろしくお願いします!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ちっ清々しい位青春模様してやがる。  う、羨ましくなんてないんだからね!? [一言]  61本か‥‥‥相手チームにサイドスローの繁くんが居なければ良いね?
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