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婚約破棄された公爵令嬢、のんびり牧場経営で成り上がり (旧:追放された公爵令嬢、隣国で成り上がって全てを見返す)  作者: 絢乃
番外編

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 ポロネイア王国の王城では盛大な祝宴が開かれていた。

 ルークの国王就任を祝うものだ。


 新国王誕生に伴う祝宴はこれで2度目。

 1度目に比べると目新しさに欠けるが、華やかさは格段に今回が上だ。

 バーランド王国からナッシュが参加するということで力を注いでいた。


 大広間にて――。

 ルークとナッシュが並んで座り、豪華な食事と酒を楽しむ。

 その前では貴族達が盛り上がっている。

 爵位を失っても、この場に参加出来るだけの力はあった。


「いやぁ、ルーク殿、誠に面目ない。ペトラのことを託してもらったのにこの体たらくで」


「気になさらず。私もこっぴどく振られましたから」


「まさか我々を振る女性が存在するとは思いもしませんでしたな」


「「がっはっはっは!」」


 2人はペトラの話で盛り上がっていた。

 どちらもべろんべろんに酔っていて顔が真っ赤だ。

 とはいえ、理性を失うほどではなかった。


「まさかナッシュ殿まで玉砕するとは思いませんでした」


「自分で言うのもなんですが、俺ってモテるんですよ」


「ええ、そうでしょう、そうでしょう」


「ですから、今まで女性を口説いた経験がなくてですね」


「分かります、分かります。私もペトラ以外の女性に自分から迫ったことはありませんから」


「すると分からないじゃないですか。どういう風に声を掛ければいいとか、そういう恋愛の作法? みたいなものが」


「ですね、ちっとも分かりません」


「その結果、お友達枠にガッポリ収まってしまいましたよ。がはははは!」


「私は幸いにもお友達枠ではなく恋人枠としてスタートできたのですけど、いやぁ、ほんと悔いても悔いきれませんよ」


「恋愛って難しいですなぁ!」


「後悔した時にはもう手遅れですからね」


 ナッシュとルークが浴びるように酒を飲む。


「しかしルーク殿、これからどうされるおつもりですか?」


「どうとは?」


「跡継ぎですよ。私は代行ですから深く考えなくて問題ないですが、ルーク殿はれっきとしたこの国の王なわけですから、後継者を考えておく必要があるでしょう」


 周囲の盛り上がりが一気に静まる。

 といっても、シーンとするほどではない。

 表向きは雑談を続けているし、盛り上がっている。

 だが、明らかに聞き耳を立てていた。


「たしかにそうですが、まだ就任したばかりですし、そのことは考えていませんね。我が父であり先代の国王にしても、伴侶を見つけたのは40歳を超えてからのことです」


 ルークは質問に答え終えると、「それより」と切り返す。


「ナッシュ殿こそどうされるおつもりですか?」


「と言いますと?」


「たしかに国王代行というお立場ではありますが、このままですと正式な国王になる可能性が高いでしょう」


「たしかに……」


 既に高齢の大臣が貴族病によってこの世を去っている。

 他にもその後に続きそうな者がたくさんいた。

 ナッシュの父親でありバーランド王国の国王にしてもそうだ。


「体制が違うといえども、国のトップが世襲制であるという点では共通しています。貴族病のような奇病であったり、我が父を襲った毒牙であったり、何かと不慮の災いは起きるもの。念を入れる必要はあるでしょう」


「そうですなぁ」


 ナッシュがそこで言葉を止める。

 少しの間を作ってから、彼は続けた。


「ルーク殿の言う通り、次代の王について考える必要はあります。でも、俺はまだペトラのことが忘れられないんですよね。他の女性との未来は考えられない」


「私も同じです。格好を付けて貴方に『ペトラを頼んだ』などと言いましたが、実はその発言すらも後悔していました。可能なら今すぐにでも会いに行きたいほどです」


「すると……我々は恋敵ということですかな?」


「そうなりますね。劣勢ですが負けませんよ」


 2人は不敵な笑みを浮かべながら、何度目かも分からない乾杯を行った。


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