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家を追い出された令嬢は、新天地でちょっと変わった魔道具たちと楽しく暮らしたい  作者: 風見ゆうみ


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41  目立ちたい理由がさっぱりわからない

「目立つための魔道具ですから、人だけじゃなく虫を呼ぶ効果もあるんだと思います。虫にも愛されているのなら良いじゃないですか、と、私が魔道具師なら言うと思いますが、レレール様のご希望として、魔道具師には伝えてはおきますね」


 私が頷くと、使者はホッとした様子で私に扇を渡して去っていった。


 魔道具の効果を解除したり変更するには、その魔道具に触れなければならないことを知っていたらしい。

 どうせなら、もっと改良を施しましょうか。

 ……そうだわ。これとは別に虫除けの魔道具を作るのもいいかも! 虫が好きだと言う大人は少ないし、害虫だけに限定するなら、多くの人が喜んでくれそうね。

 平民でも買えるような安価な値段に設定したいものだわ。

 殺虫にしないのは、虫だって生きているし、人間に近づかなければ救われる命もあるからだ。虫除けにしておけば、虫の命は助かるし、人間も不快な思いをしなくて済む。

 身につけるものや置き型のものがあると良いかもしれない。


 大量生産となると魔力をかなり使うけれど、私の場合は寝れば魔力は回復するし、酒場が休みの日に頑張ればなんとかなる。

 レレール様のおかげで魔道具を色々と生み出せるのは良いことだけど、いたちごっこなだけだし、彼女に人の婚約者を奪うということは悪いことだと自覚してもらわなければならない。


 レレール様にたぶらかされて、婚約を破棄したり解消した人物のことを調べてみると、元婚約者を含め、なんと五十人近くいた。

 お相手の女性は、私のように気にしなかった人もいるが、多くは悲しみに暮れていたり、新たな婚約者が見つからなかったりして困っているらしい。


 それだけでなく、レレール様の良さがわからない令嬢として誹謗中傷を受けている人もいるそうだ。そんなことを聞いた以上はなんとかしなければと思った私は、レレール様に新たな魔道具をプレゼントすることにした。


 自分が楽しければ何をしてもいいなんて、馬鹿な考えを改めてもらわなければならないわ。



******



 扇の改良を終え、それとは別にレレール様にプレゼントしたいものがあると手紙を送ったところ、すぐに喜びの返事が届いた。

 いつでも予定は空いていると言うので、日時を指定すると、向こうは場所を指定してきた。


 彼女が選んだのは、泊まっている宿屋に隣接しているチャペルだった。貴族に人気の場所でよく結婚式が挙げられている。


 まさか、花嫁よりも目立とうとしているわけじゃないわよね。当の本人たちやチャペル側だって、レレール様が乗り込んでくるのは迷惑だろうし断ってくれるだろう。


 そう思っていたが、彼女は公爵令嬢だ。そして、人の恋人を奪うことを楽しんでいる。お金を払い、人の結婚式の最中に私と会うことを指定してきた。

 常識がなさすぎる。そこまでして目立ちたい理由がさっぱりわからない。

 ここまでくると彼女を止めない両親についても、何か対応を取らなければいけない気がした。

 結婚式なんて一生に一度しかやらない人が多い。そんな大切な時間をレレール様が好き勝手していいわけがない。

 私は日時を変更し、結婚式を挙げる人のいない日にしたいことを伝えた。場所についても、落ち着いて話ができる場所にしようと伝えると、次に彼女が指定してきた場所は、以前、彼女が晒し者になったあの広場だった。


 落ち着いて話ができるかは別だが、チャペルよりもマシだろうと思った私は、広場で会うことを承諾した。


「俺に会いたいとも言ってるようだし、一緒に行くよ」

「ありがとう」


 ジェイクとお付き合いは始めたものの、まだ公にしているわけではない。だが、レレール様には伝えておいても良いだろうという話になった。


 そして、約束の日、私はジェイクと共に新たな魔道具を持って待ち合わせの場所に向かったのだった。



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