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家を追い出された令嬢は、新天地でちょっと変わった魔道具たちと楽しく暮らしたい  作者: 風見ゆうみ


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38  あなたの後ろにいますよー!

 元婚約者は私のことなど一切気にする様子もなく、乱暴に押し退けて問題の女性の前に立つと、悲しそうな表情を作って話を続ける。


「彼も僕と同じように彼女に捨てられないと気がつくことができないんだ。こんなことを言っても今となっては遅いんだが、とても後悔しているんだよ。だから、あなたの彼も僕と同じような思いをすることになるに決まっている」

「……はあ」


 いきなり話しかけてきた男性に困惑している女性だが、自分に酔ってしまっている元婚約者は、女性の様子など関係なく話し続ける。


「婚約を破棄したせいで、僕の元婚約者は命を落としてしまったんだよ。本当に馬鹿なことをしてしまった」


 おーい。たぶん、その人、あなたの後ろにいますよー。ちなみに、あなたに捨てられて、とても幸せになっていますよー!


「婚約を簡単に破棄するから、そんなことになるんですよ」


 女性が厳しい口調で言うと、元婚約者は何度も首を横に振る。


「いや、それは違う。そんなことで命を落とすほうが悪いんですよ」

「はい?」


 女性が驚いて聞き返すと、元婚約者は失笑する。


「泣いて縋ってくれば少しは考えてあげたのに」

「なんてことを」


 怒りで思わず声を上げたと同時に、サムイヌが私の腕の中から飛び出した。そして、元婚約者の股下に潜り込むと、かぶりと急所に噛みついた。


「ぐぁっ」


 痛みで床に膝から崩れ落ちた元婚約者からサムイヌが離れようとしないので、慌てて声をかける。


「駄目よ、サムイヌ。そんな汚いもの口にしたらお腹壊すわよ!」

『止めてくださるな! このような奴は成敗せねばなりません!』

「違うやり方で成敗するから、ペッしなさい! ペッよ!」

『ぐぬぅ』

 

 サムイヌは納得のいっていない様子だったが、私の言うことなので渋々だが聞いてくれた。気がつくと、元婚約者は痛みで気絶してしまっていて、正体がバレたくない私にとっては好都合だった。通行の妨げになるということで、通りかかった人たちと一緒に詰所の外に放り出すと、例の女性は怯えて去っていってしまった。だが、その人の婚約者はまだ残っており、地面に転がっている私の元婚約者を見て呟く。


「な……、何があったんだ?」

「この男性はレレール様の見た目に騙されて、ある女性との婚約を破棄しました。それで天罰が下ったんです。そして、この結果です」

「えっ……」


 男性が驚いた顔で私を見ると、サムイヌが口を開く。


『お主もこの者と同じ道を辿りたいか?』


 脅された男性は涙目でサムイヌを見つめ「嫌です!」と叫んだ。



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