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家を追い出された令嬢は、新天地でちょっと変わった魔道具たちと楽しく暮らしたい  作者: 風見ゆうみ


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31  どこの言葉なんだろう

 魔道具師との連絡はニースしかできないということにして、レレール様には私が何者かを知ることはできないようにした。

 公爵家も人を使って調べようとしてきたが、ジュネコとヒメネコに新たな任務を追加したので、怪しい人物は全て入領を拒否された。

 私とレレール様が会う場所はローズコット辺境伯領内に決まったので、もしかしたらジュネコたちに阻まれて会わなくても良くなるかと思ったが、残念ながら彼女は入ることが許可されてしまった。

 ジュネコとヒメネコが彼女を排除しなかった理由はこうだ。


『ただの性格が悪い奴なんですよ。極悪人とまではいかないんです』

『わたくしも同じ意見ですわ。性根が腐っているだけですの』


 脅すことは良くないが、私が指定した凶悪犯罪者や私に殺意を持つものではないと判断されたのだ。

 レレール様は魔道具師を自分の配下に置きたいだけだろうから、私を殺す必要は今のところはないものね。


 レレール様がローズコット辺境伯領に入った次の日が彼女との約束の日だった。ジェイクとクマリーノ、そして新たな魔道具と共に、待ち合わせ場所である広場に向かった。


 レレール様が人の多い場所が良いと言うので、ローズコット辺境伯家の近くにある大きな広場を選んだ。この広場には大きな噴水があり、その周りにある芝生の上で座って休めるようにもなっている。

 広場の周りには多くの露店が並んでいて、芝生に座って食事を楽しんだり、食べ歩きをしている人も多い。


 私とジェイクは待ち合わせ時間よりも早く着いて、二人……ではなく、クマリーノたちと一緒に食事を楽しんだ。

 魔道具たちは食事はできないが、子どもたちに手を振ったり、護衛のために新たに作った犬のぬいぐるみの魔道具はスリを見つけると唸って威嚇し、犯罪を未然に防いでくれた。


「量産できたらいいんだけど、ジュネコたちと同じで作った人間を優先するから困るのよね」

「クマリーノはニースの言うことを聞いてるんじゃないのか? それならどこに行っても同じようなことをするだろ」 


 ジェイクが言うと、クマリーノが反応する。


『ニース様はリリーノ様の弟クマ。言うことを聞くのは当たり前クマ』

「じゃあ、ジェイクは私やジュネコとヒメネコの大切なお友達だから彼の言うことも聞いてね」


 お願いすると、クマリーノは動くようになった顔を頷くように下に向けた。


『ジュネコ先輩とヒメネコ先輩のお友達なら、ジェイク先輩と呼ばせてもらうクマ』

『では、拙者はジェイク殿と呼ばせてもらおう』


 犬のぬいぐるみの魔道具はサムイヌという。ヒメネコを作ってから、なぜか名前まで自分でつけるようになった。まだ邪念が多いのかもしれない。


「別にそんなに畏まらなくてもいいぞ」

『何をおっしゃるのだ。我々はリリーノ様を守るためにある! 主であるリリーノ様に認められた貴方様に敬意を持つことはおかしくないことなのでござる』

『そうクマ。上下関係も必要な時はあるクマ』


 ……ござる。

 って、どこの言葉なんだろう。


 それに魔道具の上下関係って必要なんだろうか。レレール様を輝かせるための魔道具はアクセサリーなので話すことはできないけど、クマリーノたちのようなことを考えているんだろうか。


 そんな疑問が浮かんだが、元々、深く考えないタイプだ。まあいいか、と思うことにして、レレール様との待ち合わせ時間まで屋台を楽しんだのだった。


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