表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワンコイン・メサイア~シューティングゲーマー、異世界の救世主となる~  作者: あけちともあき
新宿アポカリプス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/70

第46話 三たび“ドリフト”

 遊はふわふわした面持ちで帰ってきて、うなぎを食べた。

 こう言う時、普通の人は味がわからなくなるらしい。

 遊は違った。


「いつになく美味しい」


 自分の今持っている感情が、どういうものなのか分からない。

 だが、どうやら新たなる戦いがやって来たらしいことだけは理解できた。


「遊、どうしたのですか? 妙にそわそわして……」


「うん、なんていうか、詳しいことは帰ってから話す」


「そうですか。いつもの遊ですね」


「二人ともそのコミュニケーションで問題ないの……? すれ違うカップルみたいなそれなのに」


 塩辺は実に不思議そうなのだった。

 その後、食事会はつつがなく終了。


 塩辺はいい感じに酔っ払い、二人に礼を言ってふらふら帰っていった。


「塩辺さんはいい方ですから、きっと気に入る女性も出てくると思います。私、彼を紹介する活動をしてみます」


「セシリアは真面目だなあ」


「受けた恩はできるだけ返したいのです。そうやって人と人の関係は続くものですから」


「なるほどなあ……。僕はこう、空気のようにあまり人から気にされずに生きてきたから……」


「あら、遊は私にとって、一生掛かっても返しきれない恩をくれた人ですから。恩返しはずっと続きますよ! ……それはそうと、さっきから心ここにあらずだったのはどうしたのですか? まるで、新しいゲームを見つけたみたいに」


「そう、それなんだけど」


 マンションまで帰り着いた二人。

 遊は靴を脱ぎ捨てると、普段はゲーム専用にしているテレビをつけた。

 これもチューナーの無いネットテレビなのだが、インターネット接続がされている。


 選択したのは、動画配信サイトアワチューブだ。

 普段は遊の好きなゲーム動画ばかり並んでいるような状況なのだが……。

 今日ばかりは様子が違う。


 ニュースメディアがこぞって、新宿に起こった大事件を報じているのだ。


『新宿、物理的に封鎖さる!』『新宿が異世界に!?』『内部との通信は可能!』


「なんです? これ?」


「おかえりー。なんだなんだ」


 セシリアの横に、のそのそやって来たスノンも並んだ。


「ええと、遠くに東京という大きな都市があるんだけど」


「ふんふん」


「ほうほう」


 地方出身の遊と、異世界人のセシリア、人ですらない竜のスノン。

 全員、ピンと来ていない。


「そこに新宿というとても大きい街があって」


「大きいと言うと、聖王都くらいでしょうか」


「聖王都って何人くらい住んでたの?」


「5万人はいましたよ!」


 多いでしょう! と誇らしげなセシリア。


「ええと……新宿区は35万人住んでるって」


「えっ!? 35万!?」


「想像もできん数だ……」


「そこがおかしくなった。なんていうか魔界と同化したみたいな?」


 流れるニュースとともに、遊が説明する。


「多分、魔物の類がどんどん出てきていて、新宿の社会そのものすごい速度で変質しているはず。そういう設定だった気がするから」


「やたらと遊が詳しい……。もしかして遊。ゲームの世界がその新宿という街に出現したというのですか?」


「間違いなく」


 遊は頷いた。

 テレビをゲーム画面に切り替える。

 起動したのは、新宿アポカリプス。


 魔界と化した新宿で、プレイヤーキャラを選択して冒険するシューティングゲームだ。

 移動方向は360度どちらにでも。


 主に使用するのは移動キーのみで、攻撃は自動的に行われる。

 天使と悪魔のどちらかを相棒に選択し、それは戦闘スタイルに直結する。


 レベルアップすると武器がランダムに表示され、これを取得することで戦闘手段が増え、重複取得で武器のレベルが上がる。

 いわゆるローグライクシューティングと呼ばれる系統のゲームで、遊の遊んでいるものの中ではかなり新しい。


「まあ、これはゲームセンターには無いから、ドリフトが現れても遊べないと思う……。新宿は今、このゲームの中みたいになってると思うから」


「あっあっ、わらわらと敵が湧いてきます!」


「敵を倒すと結晶が出るんだな? それは自分の世界と一緒だけど……。あっ、途中で武器に交換できるのか!? へー」


「そうそう。こうやって、どんどん戦い方が派手になる。さらにキャラクターによって、他のシューティングだとボムに当たる攻撃があって……。ゲージが溜まると、例えばこの猫使いの探偵だとこんな感じで」


 キャラクターは猫を連れているのだが、その猫がぶわっと何匹にも分裂した。

 それが画面に溢れ出し、敵モンスターを殲滅していく。


「こうやって都市を戦いながら探索して、謎を解き明かしていくシューティングゲームなんだ。アドベンチャーも混じってるかなあ……」


「意外……。遊はもう、命を取るか取られるかだけのシンプル殺伐なゲームがメインなのかと思っていました」


「うん、そう思われるのは理解できる。実は僕はシューティングと名が付けばなんでもやるんだ」


「そんなん言われても冷静に返す遊、自分というものが分かっているんだなあ」


 スノンが感心した。


「それじゃ、遊が行けないなら新宿って街はあのまんまなのか? どうしようもない?」


「どうしようもないんじゃないかな……。だって、新宿アポカリプスはゲームセンターには無いから……」


 そう呟いた遊のスマホが、ブルブル震えた。

 メッセージを受け取った通知だ。

 普段はバイブレーション機能すら切っているのに、まるで遊に何かを知らせるため、震えたようだった。


「なんだろう? ……あれ? メルマガ入った記憶は無いんだけど……」


 そこには、ゲームセンター“ドリフト”メールマガジンとあった。


『速報! 新作ゲーム入荷! インターネットゲームサービス、ディーゼルでおなじみのあのローグライクシューティング、新宿アポカリプスが当ゲームセンターにやって来ました! 救世主の来店を心よりお待ちしております!』


「……入荷したみたい。戦えるなあ」


「遊、とっても嬉しそうですよ!」


 大変な事態で、笑い事ではないと分かってはいる。

 だが、新たな戦いの予感に、遊の胸が踊るのだった。


お読みいただきありがとうございます。

面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まさにシューティングジャンキーですねぇ……今回は本人の肉体を使う感じになるのですかねぇ……
>新たな戦いの予感に、遊の胸が踊るのだった。 これはナチュラルボーン救世主 今までのノリだと、新宿にいる誰かをラジコンにして戦う感じになるのか…?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ