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 大層な夢だって構わない。無理な現実だとしても構わない。

 それでも僕は、それを叶えて見せる。

 誰一人としても変わらない世界、それを実現にする。


「それには内田さんも例外じゃない。誰一人別け隔て無い世界にする」


「……!?」


 内田さんも驚愕に表情を変える。

 こんな事を言う人は僕も聞いた事が無い、僕を除いては。

 その為には生憎だが、力が必要だ。

 力を持って上へと上り詰める必要がある。


「それが、それがもし、叶わなかったとしたら……」


「それはありえない。僕はそれを実現させる」


「……その自信はどこから来るんですか」


「心からの言葉だ。僕自身も何故こんなにも自信があるのかは分からないが、心がそうだと言っている」


「……不確定な言葉ですね」



 それでも、私はその言葉を信じたいという心も存在している。

 私のこれまでの人生、そればかりを望んできた。

 こんな世界、無くなってしまえばと思ったことさえある。

 そんな世界で、『変えてやる』なんて言葉を聞いたことが無かった。夢でも、嘘でも言う人を見たことが無かった。


 それが、今、私の目の前で真っ直ぐ私の目を見て言われた。

 真剣に、真正直に、嘘でも無い、真っ直ぐな言葉。


(その言葉に、私は賭けてみたい)


 闇に刺す一縷の望み、一筋の光の様な言葉。

 それでも私は……


「……っ……」


 自然と目から涙が出て止まらない。

 擦っても擦っても止まる事を知らない涙が流れて地面へと落ちる。


「今は不確定かもしれない。それでも、いつか現実のものとなる。俺はそう思っている」


「っ!……そう、なるといいですね」


 僕は内田さんの上から起き上がり、後ろへと下がる。

 内田さんはもう戦闘の意思は感じない。

 もう離したとしても攻撃をして来る事は無いだろう。もし、仕掛けて来たとしてもこの距離からだとしても僕の反応速度とスピードなら反撃の前に制圧出来る。


「なら、そんな平和を求める博愛主義者にお教えします」


 博愛主義者か……確かにその言葉は今の僕に当てはまるだろう。弱肉強食、それが世界の理。それを覆して平和、つまり能力で全てが解決される世界からそれを取り除く。

 その為には……


「   」


「……っ!?」


 それにしても、スパイが潜り込まれるとは学園の警備が緩いのか、それともわざと潜り込ませているのか。

 学園長もあの天才、何を考えているのかは僕にも分からないが他国が何の対策を講じない訳が無い。

 スパイだって潜り込まれる可能性だって考えられている筈だ。

 それなのに潜り込まれている。それは可怪しいくないか?


「……」


「ヨルさん」


「!……何だ?」


「これを聞いてどうするかは貴方次第です。私も貴方に協力しましょう」


「……いいのか。それは自国を裏切る行為だぞ?」


「いいのですあんな国……ですが、」


「……家族の事か?」


「はい」

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