分からなければ聞けばいい
僕はとあるクラスの目の前で歩みを止めた。
Aクラス……この学園でトップに位置するクラスだ。
トップを張るクラスならば、学園の情報を僕たちFクラスに比べられない程の情報を持っているだろう……
「……よし、行くか」
と、格上を相手する覚悟でドアの前に立っていた。
AクラスならばFクラスなんて比べられない程の情報を持っているはずだ。
だからといって交渉材料なんてこっちには何も無いし、向こうにも何のメリットも無いけれど……
何かしら作戦の一部にでも成れば御の字かな?
そう思いながらAクラスの扉を開けた。
「すいませーん、誰か居ますか?」
そう言い、扉を開けると……
教室の中には一人の女性が寝ているだけだった。
「あの、すいません」
「……zzz」
「あの……」
いくら呼び掛けても彼女は起きる様子はなかった。
よく見れば、ここに来る前の教室で寝ていらっしゃった彼女だった。
「…………っん」
しばらくどうしようかと考えを巡らせていると、今にも消え入りそうな声が確かに聞こえた。
「……ふぅわ〜……」
目の前の少女は小さく口を開け、欠伸をした。
目をこすり、欠伸で出た涙を拭いながら周囲を見回した。
「……アレ?みんなは?……」
恐らくAクラスのクラスメイトのことだろう。羞悪を見回して誰もいなかったんだ。そりゃ戸惑うだろう。
「…………ぅん?君は?」
(あっ、気付いた)そんな事を思いながらやっと目を覚ました彼女を見つめた。
白い肌に白い髪、銀髪に近いのかな?身長は小さく、小学高学生と言われても間違いそうだ。
そんな彼女を見つめていると……
「…………ねぇ、君は誰ぇ」
未だ眠たげなのか口が回って居らず見た目も相まって本当に幼子に見える。
「……っああ、僕はヨル」
「…………ヨルくんは……何してるの?」
「クラス総力戦のルールとか色んな事聞きたくて来たんだけど君しかいないからどうしようかと思ってるところ」
「…………そっか~。みんな何処行ったんだろうね」
「ホントにね〜」
……ん?移ってなかったか?
「……じゃあわたしが教えてあげよっか?」
「え?良いのか?」
「……うん。起こしてもらったし〜そのお礼〜」
「ありがとう!じゃあ早速聞いていいか?」
「……うん。えっとね〜」
彼女曰く、
一つ。殺してはならない
二つ。殺し以外は何を以て戦うのは自由
三つ。能力を使用はOK
四つ。お題を達成できなかった者は退学
「……そんな感じかな〜。」
「……ふむ。総力戦の内容は?」
「……完全ランダムだよ~。あとね~」
さっきまで寝ていた割にはしっかり聞いているんだな……
そんな事を彼女を見ていると、
「……どうかした〜?分からない事でもあった〜?」
「……いや、寝ていた割にはしっかり聞いているんだなって」
「む〜……失礼な。しっかり聞いていたよ…………寝ながら」
(結局寝てるんかい!!)
心の中でツッコミをしている内に目の前の少女はまた寝る体勢になっていき、やがて小さな寝息が聞こえてきた。
寝始めた彼女を起こさない様に静かに教室の外に出ようと扉の前まで歩み始め、自分の教室まで向った。
「…………ふふ」




