剣先
支援系の能力だというのは分かっている。
それは自分にも付与出来るものだろうか?それはどれほどのものなのか。
気になる。
「全力で来い。でないと、死ぬぞ?」
「ッ」
蛇腹剣が何かに呼応するように光り輝く。
殺気をが籠もった刃一枚一枚が葉を切り裂き、木を切り倒す切れ味がある。
確実に触れれば手はズタズタに切り裂かれるだろう。
ナイフで受け止めてもいつまでナイフが保つかどうか分からない。
ならば狙うはただ一つ。
(私の剣の刃の隙間の糸を……!)
刃の隙間、そこを狙い軌道をずらして避ける。流石に動かないと擦り傷程度じゃ済まないな。
木を切り倒す切れ味という事は骨も断ち切られるかもしれない。
慎重にならないとな。
「手先が器用ですね。隙間を狙うなんて……!」
「そうでもないさ、以外と範囲が広いから狙えない事はないさ」
「広いと言っても数センチ分しか無いんですが……!」
「それだけの隙間さえあれば捌けない事は、無い!」
内田さんは舞う様に蛇腹剣を扱っている。出来るだけ近づかれたくないって感じか。
なら、刃と刃の隙間を縫う様に近づく。
「!?」
凌ぐのは最低限、急所になる攻撃以外はもう無視する。
無視した刃が服ごと僕の肉を切り裂く。
痛みはあるが耐えられない程の痛みでは無い。
「くっ!!」
内田さんは急いで剣を戻そうとしている。
そんな事はさせないと、剣の隙間を狙い剣を戻そうとする事を邪魔する。
邪魔をしつつ、前へと進む。
そして、内田さんの目の前までやって来た僕は進んできた勢いのまま
「きゃっ!!」
押し倒した。
暴れられない様に、内田さんの足を押さえ込む様にのしかかりナイフを首元に当てる。
この場面を違う人が見れば男が女の子を押し倒して強姦している様にも見えるだろう。
幸いここは人通りが少ない、だから通報とかされない。
僕らの頭にはそんな心配はしていないが。
「女の子にこんな格好をさせるのどうなのでしょう」
「暴れられない様にしているだけだ。我慢してくれ」
「……」
内田さんは恥ずかしいと思っているのか、頰を赤らめている。
……やっぱり、スパイに向いていないな。




