デート(?)3
遅めの昼食を食べ終わり、会計を済ませてレストランを後にする。
「この後はどうしましょうか」
「私少し、本屋に寄ってもいいですか?」
「いいですよ。行きましょうか」
スマホを出し、マップを開いて本屋の場所を確かめる。
繁華街なだけあって何でも揃っている。
本屋に日用品店、雑貨店、ゲームセンター、電化製品店、駅の近くに揃っている。
「あっちですね」
マップのナビに従って本屋に向かう。
それにしても娯楽施設に行くなんて暫く振りだな。学園の近くにはコンビニくらいしかないし、まぁ安全の為には当然か。
兎に角楽しみだ。
「ここですね」
デパートの中に本屋があるらしく、入っていく。
デパートがあるならここに来る人多そうだな。ここなら色々揃っているし、あっちこっち行く必要が無い。
飲食店も種類がある。
値段も安く済みそうだ。やっぱりこっちに来る人の方が多そう。
本屋に辿り着くと、内田さんは真っ先に少女漫画のコーナーに向かった。
以外も以外だった。普段、クラスでは休み時間も勉強に励み、戦闘訓練では不器用ながらも頭の良さを武器に創意工夫している。
そんな勉強漬けの内田さんが、まさか真っ先に少女漫画のコーナーに行くとは……以外だった。
「少女漫画、か」
「どうかしましたか?」
「ちょっと以外だったから、驚いた」
「そ、そうですか……私だって女なのでこういうのに興味はあるんです」
「そうか……そうか」
内田さんは一冊だけを取り出し、レジへと向かった。
僕も漫画はよく読む方ではあった。だが、今は訓練が重要視している。力がいると思ってしまっている。
これもこの世界の良くないモノだと頭では分かってる。しかし、変えれるモノはあると思っている。
その為には、どうしても力がいる。
僕は……俺は……
「買って来ました。では行きましょうか」
「ああ」
時間はすっかり夕方になり、駅の方は人通りが多くなってきている。
帰宅ラッシュはこの島にもあるようだ。
今電車に乗るとそれに巻き込まれて疲れるだろう。
「ヨルさん、荷物を置いて少し歩きませんか?」
「……分かった」
それから僕たちは、駅近から歩いて離れ、自然豊かな湖があるところまで歩いて来た。
「……」
「……」
ここに来る途中は今日の事を語りながら歩いて来た。
途切れ途切れに会話をするが、どこか気まずい。そんな空気感が漂う。
だが、湖面に夕日が反射してなんとも幻想的な光景だ。人通りも少なく、光景を独り占めだ。
「今日は楽しかったですね」
「そうですね。内田さんが少女漫画好きなんて始めて知りました」
「そ、それは、もういいです」
恥ずかしいのか、俯いている。
この光景を見ながら歩くというのは気持ちがいい、今日この場所に来れて良かった。
「……それで、何の用だ?」
「……」
「朝も同じ質問をしたが、ここではそうは聞かない。用も無くただ歩こうとは言わないよな。内田さん」
「……そうですね。……ふぅ~……」
カチンッ!
金属と金属が擦れ合う音が鳴り響く。
冷たい金属が地面を、木を、柵を斬りつける。
…………
…………
……やっぱりか。




