表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/89

デート(?)3

 遅めの昼食を食べ終わり、会計を済ませてレストランを後にする。


「この後はどうしましょうか」


「私少し、本屋に寄ってもいいですか?」


「いいですよ。行きましょうか」


 スマホを出し、マップを開いて本屋の場所を確かめる。

 繁華街なだけあって何でも揃っている。

 本屋に日用品店、雑貨店、ゲームセンター、電化製品店、駅の近くに揃っている。


「あっちですね」


 マップのナビに従って本屋に向かう。

 それにしても娯楽施設に行くなんて暫く振りだな。学園の近くにはコンビニくらいしかないし、まぁ安全の為には当然か。

 兎に角楽しみだ。


「ここですね」


 デパートの中に本屋があるらしく、入っていく。

 デパートがあるならここに来る人多そうだな。ここなら色々揃っているし、あっちこっち行く必要が無い。

 飲食店も種類がある。

 値段も安く済みそうだ。やっぱりこっちに来る人の方が多そう。


 本屋に辿り着くと、内田さんは真っ先に少女漫画のコーナーに向かった。

 以外も以外だった。普段、クラスでは休み時間も勉強に励み、戦闘訓練では不器用ながらも頭の良さを武器に創意工夫している。

 そんな勉強漬けの内田さんが、まさか真っ先に少女漫画のコーナーに行くとは……以外だった。


「少女漫画、か」


「どうかしましたか?」


「ちょっと以外だったから、驚いた」


「そ、そうですか……私だって女なのでこういうのに興味はあるんです」


「そうか……そうか」


 内田さんは一冊だけを取り出し、レジへと向かった。

 僕も漫画はよく読む方ではあった。だが、今は訓練が重要視している。力がいると思ってしまっている。

 これもこの世界の良くないモノだと頭では分かってる。しかし、変えれるモノはあると思っている。

 その為には、どうしても力がいる。


 僕は……俺は……


「買って来ました。では行きましょうか」


「ああ」



 時間はすっかり夕方になり、駅の方は人通りが多くなってきている。

 帰宅ラッシュはこの島にもあるようだ。

 今電車に乗るとそれに巻き込まれて疲れるだろう。


「ヨルさん、荷物を置いて少し歩きませんか?」


「……分かった」


 それから僕たちは、駅近から歩いて離れ、自然豊かな湖があるところまで歩いて来た。


「……」


「……」


 ここに来る途中は今日の事を語りながら歩いて来た。

 途切れ途切れに会話をするが、どこか気まずい。そんな空気感が漂う。

 だが、湖面に夕日が反射してなんとも幻想的な光景だ。人通りも少なく、光景を独り占めだ。


「今日は楽しかったですね」


「そうですね。内田さんが少女漫画好きなんて始めて知りました」


「そ、それは、もういいです」


 恥ずかしいのか、俯いている。

 この光景を見ながら歩くというのは気持ちがいい、今日この場所に来れて良かった。


「……それで、何の用だ?」


「……」


「朝も同じ質問をしたが、ここではそうは聞かない。用も無くただ歩こうとは言わないよな。内田さん」


「……そうですね。……ふぅ~……」


 カチンッ!


 金属と金属が擦れ合う音が鳴り響く。

 冷たい金属が地面を、木を、柵を斬りつける。


 …………



 …………



 ……やっぱりか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ