デート(?)
ピピピッ、ピピピッ
スマホのアラームが部屋に鳴り響く。
「……朝か、」
現在の時刻は六時。学園に通う為に起きるいつも通りの時間。
だが、今日から学園は夏休み。授業自体は無いが、生徒は訓練か勉学に励んでいる。
今日の僕は違う。これから準備して十一時までに学園の近くにある駅へと向かわなければならない。
制服……で向かう訳にはいかないか。クローゼットを開くと学園支給の私服が入っている。
「あ~……、これでいいか」
適当に動きやすそうな服を選ぶ。半袖にその上に何か羽織って下はジーパン、うん、サイズピッタリ。ナンデ?
学園に来てから身体測定やら何もしていない。なのに何故、サイズピッタリなのか……まぁいいか。
準備を整え今は十時……余裕で間に合う。
でも外で待つには暑い。
「……」
待たせるよりはいいか。
早めに出て行く事にした。一応、デート(?)なのかもしれないし。
(ああ、アレも持っていくか)
アレを持って駅へと向かう。
駅に着くとそこには、
「来ましたか。早かったですね」
既に内田さんは来ていた。
「内田さんこそ、早いですね。いつから待ってたんですか?」
「別に……待つのには慣れていますので。行きましょうか」
待っていた時間を話す気は無いらしい。汗とか日焼け具合……じゃ女性は分からないか、でも見た感じ時間は経っていない感じか。良かった。
僕と内田さんは電車に乗り、繁華街の方へと向かう。
偶然というか、選んだ服装が似ている。下は同じジーパンで、上は同じ半袖、配給されている物が同じなのだろう。
「今日はどうしたんですか」
「どういう意味ですか?」
「知り合って数日の男と繁華街まで向かおうとは普通しません。だから何か悩みでもあるのかと思いまして」
「……そういうのではないです。ただ夏休みなので貴方と遊びに行きたいと思ったんです」
「……そうですか」
電車に揺られる事数分、学園の近くから反対側まで着いた。
学園の近くとは違い、大勢の人で賑わっている。
ビルが立ち並び、多くの店舗が入っている。飲食店に洋服店、日用品店、雑貨店、ゲームセンターに電化製品店、色々ある。
「おお〜……」
日本にいた頃にはよく見ていた景色が広がっていた。久しぶりに見ると感動する。
そんな感動する僕は横目に内田さんの方を見ると、
「わぁ〜……!」
余程楽しみだったのか、余程久しぶりだったのか目を輝かせている。
今日は楽しくなりそうだ。




