クラスメイト
え〜…っと、どちら様でしょう。
「あ、有難うございます……じゃあ、教えてくれますか?」
「分かりました。では、コチラへ」
誘導された席の方へと教科書とかを持って行く。
「それで、今日の授業でしたが、コレは一昨日教わった公式を当てはめまして……」
それから十分間の休み時間の間でさっきまでやっていた授業の、八割を教えられた。
凄い教え上手だこの人、もしかしたら先生以上に教え上手かもしれない。
「これだけ出来れば次の授業も出来るでしょう」
「有難うございます!教えるの上手ですね」
「それ程では無いです。自分の復習にもなりますし」
垂れる髪を耳に掛ける。
よくよく見ると顔も整っていて頭もいい、美少女と言えるカテゴリーに入るのだろう。
てか名前なんて言うんだろう。……聞けばいいか。
「あの……」
「何ですか?」
席に座り、ノートを広げてペンを奔らせている。
見ている感じ話半分で聞いているのだろう。
「名前、聞いていいですか?」
「……え?」
「え?」
奔らせていたペンも止まり、ポカンとしている。
「……一応、総力戦の時も練大祭の時も近くにいたんですが……そうですか」
「……なんか、すみません」
恋愛小説によくありそうな展開だな。それも少し前の恋愛小説。まぁ、僕は覚えていない事が悪い。
「内田凛……それが私の名前です」
「内田さんか。僕は……知っているか」
「そうですね。貴方は色んな意味で有名ですからね」
そうだよな〜。その事でさっきまで学園長室にいたからな〜。
今日一日でよく聞くな、昨日の事。
それだけ話題にもなっているし、目立っているという事か。
キーンコーンカーンコーン
授業が始まるチャイムが鳴り響く。
「あ、もう時間か。授業の事有難うね」
「いえ」
そう一言言うと再びノートに視線を落とし、ペンを奔らせる。
僕も自分の席へと向かい、授業がスタートする。
「……」




