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開花

 能力の開花?

 どういう事だ?能力とは先天的に授かるものであって後天的に授かるものではない。

 だから、能力者と無能力者と能力が扱えない者とで優劣が存在する。

 それを、何だ?この天才はまるで……まるで……


 人工的に能力を授かろうとしているように聞こえる。


 そんな事が可能なのか?


「能力を開花させるって、まるで人工的に能力を開花させようとしているように聞こえますが」


「ふっ……その通りだ」


「!?」


「私の研究で能力を人為的に開花させる実験をしている。適性者であれば能力を開花出来る」


 予想通りか……やっぱりここ、安全の為だけじゃ無い。おそらく何処かに、研究所に続く入り口があるのだろう。

 だが、今は接触する訳にはいかない。学園長が有ること無いこと言われると学園生徒が、全て俺の敵になる。


 今はそれだけは避けたい。


 ……


「……お断りします」


「ふむ、それは何故かな」


 学園長から静かな、だけど確かな威圧感を感じる。それは、和田を超える程の威圧感。

 答えなければ返さないという感じだ。


「僕は、今のままでも十分なので」


「ほう」


「例え能力が使えなくても、十二分に戦えて渡り合えるので、大丈夫です」


「成程、でも「それに」」


 学園長が何か話そうとしている所にすかさず話し続ける。


「それに、学園長は先程、『実験している』と仰っていました。という事は、まだ実験段階で確実なものではない。違いますか?」


「ふふっ、その通りです。君は聡いですね」


「そんな事ありません。学園長の仰っていた事を総合しただけですよ」


「それだけでも十分聡いですよ。Aクラス以下の生徒(子)達なら、私の言葉に直ぐに承諾していたでしょう」


「そうでしょうね。皆、力に餓えている人が多いですからね」


「だから、目先のデメリットにも気付けない人が多い」


「……」


「分かりました。有難うございました、もう戻って頂いて結構ですよ」


「失礼しました」


 そう言い、僕は学園長室を後にしようとする。

 扉を押しても引いても、重くてビクともしなかった。重っ!!


「ああ、その扉は魔力を少し流しながら引くと開きますよ」


 言う通りにすると、割と簡単に開いた。


「では、失礼します」


 少し頰が紅くなっているのを感じながら学園長室を後にした。

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