学園長
学園の廊下を歩くこと数十分、流石に長過ぎる。
寮から学園まででもそんなに掛からないぞ?階段も何段下りたのか、もう分からない。てかこんだけ下りたら地下だろ。
(この学園に地下があるなんて知らなかった)
「あの、学園長室ってこんなに遠いんですか?」
「ああ〜、学園長室は襲撃なんかされた時の為に地下奥深くにある」
成程な。世の中怖いね~。
兎に角、学園長は一番安全で何も知られない場所で何時もいる訳ね。
何でも知られない場所、何でも仕放題だな。
何かある訳じゃ無い事を願うか。
それから数分程、太陽の陽も届かない地下の廊下を歩き、辿り着いた。
辿り着くと、厳重な扉が目の前に現れた。
少し鍛えた程度では開けられない程の厳重な扉。重そう。
先生は扉の前に着くと、三度のノックをする。
低いノック音が廊下に響くと、一拍置いて、
「……どうぞ」
と、一言だけ聞こえて来た。
聞こえると先生は勢いをつける事無く、当たり前の様に扉を開ける。え、凄。
開いた扉から中に入ると、そこには窓さえあれば普通の学園長室があった。ソファーとテーブル、デスク机に椅子、棚には資料と思われるファイルがぎっしりと詰められている。
ここにずっと居ると、精神的におかしくなりそうだ。
太陽の陽も届かない、何時かも時計がないと分からない。
「来たか……山崎先生、すまないが外で待っていてくれないか」
「……分かりました」
そう言うと、先生は外へと出て行った。
……あんなにきっちりとした先生を見たのは初めてだ。それに、さっきの言葉……願い事の様に聞こえているが違う。
命令。
それだけの事をする程の内容なのか……
「さて、単刀直入に聞こう。……君は、
どれだけの力を隠している?」
今度は単純に聞いている様に聞こえる。だが、どう言えばいいか……
正直に言えば、入学前の試験を何故本気でしなかったという事になる。まぁ試験は真面目にしたけど……
それでも正直に話すのはナシだ。ただ、この人は天才。
単純な嘘が通じる訳が無い。
天才を騙し通すには……




