疑惑
練大祭が終わった翌日、教室へ少し遅くに向かうと何人かは既に登校していた。
当然、藍沢さんも。
何人かにチラチラ見られながら自分の席へと向かった。
「昨日は凄かったね」
僕に聞こえるか聞こえないかの声量で話し掛けてきた。
「そうか?」
「ええ、そうだよ。Dクラスの生徒を簡単に倒してしまったんだから」
「あれはそうでもないよ」
「君にはそう言えるだけの力があるんだから。だからそれだけの事が出来るんだよ」
「……」
「これからの生活で隠す事は難しくなると思うよ」
昨日も和田から同じ事言われたな~。まぁそれは僕も思っている事だし。
今日明日の様子を見てから決めようかな?直ぐにどうこうという事は無いだろう。
そんな事を思っていたが、僕の思惑とは別に学園は直ぐに行動していた。
ホームルームで、
「えーっと、この後にお前は俺と学園長室に行って貰う」
との事だった。
昨日の今日で直ぐに行動したか。様子見も出来なかったが、逆に良かったか。
教室中がザワザワと騒ぐ。
まぁそうなるわな。昨日の今日でこの騒ぎなんだ。昨日の白井とかどうなっているんだ?
考えながら周りの事、聞いていたけど、
「やっぱりアイツ……」
「昨日の事マジで?」
「ねえねえ、彼って……」
「もしかして総力戦のって……」
色んな事が錯綜している。まぁ、強ち(あなが)間違っていないが。
「お~い、行くぞ〜」
ホームルームがいつの間にか終わっていたのか、先生に呼ばれた。
後々に回すと面倒くさい事になるし、行くか。
学園長室。




