練大祭9
全員が唖然とする。
誰しもが勝つのはDクラスの白井(?)だと思っていた。
だが結果は違った。その場に立っていたのはFクラスの生徒だった。
「……っ」
審判の先生も僕が勝つとは考えてはいなかったらしく、呆然としている。
「先生」一言言うと、我に帰ったのか
「しょ、勝負アリ!」
僕の組手は静かに、誰もが驚く結果で終わった。
これで練大祭の全てが終わり、幕を閉じた。
練大祭の帰り道、寮の前で、
「アレでよかったのか?」
後ろから声が聞こえてきた。振り返ると、和田がいた。
「あれからわざわざ待っていて着いてきていたのか?」
練大祭が終わるまで待って、僕が来る場所を予想して待つ。
そして、さっきの言葉から組手を見ていたのだろう。見ていたから声を掛けてきた。
「ああ、あれだけ隠していたのに見せつける様に力を使った。何故だ?」
「あれだけだったら問題の範疇にならないだろ?アイツもそこまで強かった訳でもないし」
「そうでもないさ。アレでもDなら強い方だ」
「そうなのか……なら、これからは手加減はちゃんとしないとな」
やはり多少でも負けていればよかったか。
「これからがあると良いな。さっきの事で鋭い奴は気付く、学園側も何かしら行動するだろう」
それ程か、隠すというのも一筋縄では行かないな。
「多少の注目も集めるだろう。これまで以上に生活し辛くなるぞ」
「……そうか」
「俺から何か言えるのはこれくらいだ。後はヨル次第だ」
「分かった。有難う」
その後、和田は何も言わず自分の寮の方へと帰って行った。
そして、僕も自分の部屋に帰って行った。




