練大祭8
先生の一言でもう一度、組手を行う事になった。
しかも、この場にいる生徒全員が注目する形で、だ。
(考える上での最悪の状況だ)
手を抜いて負けると僕がイカサマしていた、という事を認める様なものだ。
だが、能力を使っていないなんてどうやってわかるんだ?
と、考えていると、
「腕を出せ」
そう言われ、腕を出すと、腕輪のような物を装着された。
お、少し魔力吸われたな。
魔力が吸われるとカチンッと鍵が掛かる音が聞こえた。
「これで能力を使えば、腕に装着したそれが警報器並の音が出る。それで能力が使っているか分かる」
成程、これで不正かどうか分かるのか。
「これで不正はできね〜な〜!!フハハハハ!!」
ま、これで不正じゃ無いって証明できるなら良いか。
「それでは、再度組手を始めます。位置に着いて下さい」
僕と、その、なんだっけ?白井だっけ?も位置に着く。
「では、……始め」
その一言と同時に白井(?)は距離を詰め、攻撃して来る。
僕は槍を持っているが、相手は素手、というか拳が武器だ。
槍で拳を受け止める。
「……」
確かに、和田程では無いが、力はある。ん?
一撃受け止めたが、本来それで終わる。だが、更にそこから重さが加わった。
おかしい。人間にそんな芸当出来ない。
となると、能力を使っている。不正しているのソッチじゃないか。
「は〜……」
呆れるね。自分との実力差も分からずに認められず、不正と決めつける。
そして今度は自分が不正を働く。
「なんだ!?その溜め息は!自分との実力差に気づいて呆れているのか!?」
「……そうだよ」
槍を引き、空振った拳をいなして出来た隙を突き、頭に一撃を入れて一撃で意識を奪った。
その場に立っていたのは僕だ。




