練大祭7
練大祭の課題、組手の相手は……
Dクラスの白河颯馬という名の生徒だった。誰だよ。
流石に知っている相手ではないか。それにやっぱりというか、Dクラスの生徒と相手する事になった。
それ自体は問題ではない。
組手では、能力の使用を禁じている。
だから、当人の技術が勝負を左右する。この組手で気を付けないといけないものは、……
上手く加減をしないといけない!
(最近は和田とばかり訓練しているから感覚がバグっているかもしれない。気を付けないと)
相手はDクラスの生徒、中途半端に実力を発揮し過ぎると周り(Fクラスのクラスメイト)や見ている教師陣にも怪しまれる。
上手く負けている風に装ってそれとなく負けないと……
「ふっ。俺ってば運が良いな〜!!組手の相手がFクラス(雑魚)なんだから!」
「……」
「恐怖で何も言えね〜か!そうだよな〜!なんたって俺はDクラス、二つも上のランクのクラスなんだから!!」
「……」
「恨むのなら俺じゃなくて、運が無かった自分を恨んだな〜!この世に生まれてきて実力も運も無い自分を」
「『それでは、一回戦目始めてください』」
「っしゃー!行くz……」
ドスッと持って来ていた槍の先端を叩き込む。
組手において武器の使用は禁止されておらず、事前に選んでおけば持ち込みOKになっている。
元々、僕はこの組手は負けて終わる予定だった。けど、皆も思ったと思う、なんかムカついた。
僕もまだ未熟だな。感情的になって勝負の勝敗を自ら変えてしまった。
しかしアイツ、今思うと、滅茶苦茶ベタだったな。
周りを見ると、まだ戦っている者達と実力差があり過ぎて降参を選んだ者達、そして、倒されてしまった者達。
残っているのは殆どがCやDクラスの生徒、EやFクラスの生徒は残っていないのが殆どだ。
やっぱり、僕が異常だな。
Fクラスは……僕以外は全滅か。どうするかな〜?
……
今さらわざとらしく倒れた所で勝ったところは見られているし、……
僕が考えていると、
「こ、こんなのイカサマだ!!」
横から水を差す様な声が聞こえてきた。
「この俺が、た、たった一撃でやられる訳が無い!!」
またベタな事言うな〜。
「絶対何かしらの能力を使ったんだろ!!そうに決まっている!!審判!良いのか!?」
そう言うと、僕も審判の先生の方を見る。
すると、考え込む様に俯きながら、先生は答えた。
「……それでは、特別にもう一度だけ、組手を行います」




