練大祭3
「『間もなく練大祭を開始します。指定の生徒は位置に着いて下さい』」
練大祭開始のアナウンスが流れる。最初は、Aクラスから始まって、次いでBクラスが始まる。F〜Cクラスは二の次になっている。
お偉いさんのお目当てはAとBクラス。他の下クラスは眼中に無いって事だろう。
ぞろぞろと室内から出ていくのがおそらくAクラスの生徒なんだろう。以外と少ないな。
二十人もいないだろう。和田が抜けたとしても、これは少なすぎる。
だからと言ってこれまで何かあったかというと何も無かった。つまり、入学当初からあの人数だという事だ。
その約二十人が散り散りになって行き、学園の敷地の外へと向かって行った。
あ、氷城さんいた。
「これからAクラスの人の課題が始まるんだね。楽しみだな〜」
「知り合いでもいるのか?」
「そんな人いる訳無いじゃん!Aクラスだよ?天の上の人なんだから仲良くなろうとしても門前払いされちゃうよ!」
「ま、それはそうか。弱い奴らに仲良くなる奴なんて、かなりの物好きか変な奴だ」
「それでも、仲良くなれたら良いと思うけどな〜……」
「……そういうものか」
やっぱりなんか怪しさが拭えきれないな。どこか裏がある気がしてならない。
それでも今はいい。今は練大祭に集中だ。
ドローンを通して映像を大スクリーンに映し出す。
一人につき二つづつ、計四十の映像が出る。近場だと見にくいが、遠目だと全体を見る事が出来る。
俯瞰して見ると、Aクラス全員FやEなんて比較にならない力を持っている事が分かる。
まだ誰一人として能力らしい能力を使っていない。素の身体能力でこれか……
課題が各々違うからか目的地も各々違う。
それぞれ都内を出て、森、海、竹林、火山、地底などなど危険地帯に赴いている。
おそらく、今回はタイムアタックなのだろう。そうでなければ、今回の様な自然地帯は選ばれない。
課題は素材採取とかそんなところか。
(お、一人が能力を使い出した)
海にいる一人の生徒が能力を使い、海がまるでその生徒の周りだけ切り取られたように海水が無くなっていく。
そのまま走り出し、海の中へと入っていった。ドローンも後を追う様に海の中へと入っていく。
水の中とは思えない程のクリーンさで、どういう技術か気になるところだ。
本来、こういうモノはお偉いさん達だけに魅せ、僕ら生徒には実力は見せないものだろう。
そっちの方が一人一人が見やすいし、実力を見られずに守れる。
だが、そうしない理由がある。
それは、
(見せたところで、真似する事なんて出来ない)




