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練大祭2

 自分のクラスの席へと向かう。入学式では分からなかったがこの学園、二、三年生、つまり年上の生徒がいない。


 ……一年生だけしかいない。


 変な学園だ。普通の学園ではありえない。

 年上とのコミュニケーション、コネを得られる機会も無く、ただ真っ当に自力で成長するしかない。


 周りの技術やテクニックを盗み出す。互いに警戒しあい、牽制し合う。

 自分の武器(毒)を磨き、上へと歩み続ける。例え、人を踏み台にしても歩き続ける。

 下を踏み台にし、上を喰らいつく。

 コレはまるで、



【蠱毒】



 そんな事をする学園はやっぱり怪しさしかない。

 何故新入生だけを入れるのか、何故交流らしい交流をしないのか。まぁ、後者は生徒側の問題だが……

 それにしても自主制をどうたらこうたらというのを掲げているところもあるが、この学園はそれが強い。

 殆どの事が自主的取り組みを重んじ見ている。訓練も勉学も全てが自主制になっている。

 それが今でも続いている。確かに大事なのかもしれないが、この世界だとそれが普通だったりする。


 それは今はいい。

 だが、蠱毒の状態というのは置いておいていい事では無い。

 例えそれが偶然でも必然でも続いていいモノではないだろう。

 いつか犠牲が出てもおかしく無い。

 だから、その為には……


 ……


 席に着くと他のクラスメイト達は既に座っていた。


(……早いな)


「あ!来た来た!ヨルくーん」


 僕を呼ぶ声が聞こえて、そっちを向くと藍沢さんがいた。


「こっちだよ〜!ここ、席空いているよ!」


 見たところ他にも席は空いてはいたが、呼ばれて行かないのもアレなのでそちらへと向かった。


「いらっしゃ~い!ようこそコチラ側へ」


「何?その敵側みたいなセリフ」


「そんな事無いよ~。他にもラスボスとか怪しい人とかが言いそうじゃん!」


「……どちらにしても敵側じゃん」


 他愛ない会話をしていると、練大祭が始まるナレーションが聞こえた。


 こうして練大祭が、始まる。

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