祭り
それからというもの、五月は何事も無く過ぎていき六月に入った。
この学園には、定期テストなんてモノは無い。だからと言っても訓練ばかりしていると、ランククラスは落ちていく。
クラスは知力と武力、その両方は鑑みて振り分けられている。
学力も力として考えられている。
だから、勉強もしていないとランクが下がる。
ちなみに、罰なんかもランククラスごとに重さも変わる。
聞いた話によると、和田が訓練所関連の事で上手く誤魔化してくれたが、その所為でBクラスに落ちたらしい。マジでごめん。
話を戻すが、そういう事で落ちない為にには訓練と同じくらい勉学も重要なのだ。
中には戦闘はからっきしの生徒もいる。そんな生徒は知力に秀でている。他の生徒とは比較にならない程に。
そんな中、僕はというと……
「可もなく不可もなく……だな」
和田と訓練をしていると、そんな話題が出たので話している。
テストは無いが一応教育機関という事なので、成績はつく。
なので一応は一般生徒くらいは勉強しているつもりだ。
「和田はどうなんだ?」
「俺も普通くらいだな。勉強よりは剣や刀振り回している方が性に合っているしな」
……まぁ、何と言うか、典型的なあれだな……能力的には勉強は悪くないと思うが。
「魔術とか学ばないのか?和田の能力的には相性いいだろ?」
「あ~……、魔術な。覚えれば強くなるっていうのは確実なんだが、覚えるまでが長くてな。」
通常魔術は、適正が無いものは覚えず知識程度で留めておくくらいだが、和田の場合……
「魔術というだけで全て覚えられるだろうな」
「ああ、数えるなんて馬鹿らしくなるくらいにはな……そんなに覚えられるかって」
「確かに、多過ぎるな」
魔術は基本一つ覚えるのに、一ヶ月はかかる。隅々まで読み理解し、読み解き、イメージでき、術式を覚え、この世に顕現させる。
一ヶ月で覚えられるのは平均がそれくらいという意味で、かかる人はもっと掛かる。
魔術メインの人は簡単だろうけど、武術も使う人は難しいだろう。
「そういえば、知ってるか。もうすぐ練大祭」
「練大祭?」
「ああ、やっぱりまだ知らされていないのか。まぁもうすぐ知らされるだろうが。簡単に言えば体育祭だな」
「それがもうすぐあるのか?」
「六月から七月にかけてあるんだよ。お偉いさんも沢山来る」
「へぇ~……」
それはまた、面倒そうだ。




