闇
その日のホームルームにて、
「え〜、遅刻した馬鹿の為にもう一度話すぞ。朝話した様に訓練所は使えない。だから、第一訓練所以外で訓練する者はするように」
そう、昨日戦ったのは複数ある訓練所の一つだった。あの訓練所ばかり使ってたから知らなかったが、学園には第一から第五までの訓練所がある。
というか、そういう事は入学当初に説明して欲しいよね……
まぁそんな事は今となってはいい事だ。
訓練所が使えるという事は、訓練が出来るという事だ。これなら、さほど迷惑をかけるという事は無いだろう。多分。
しかし、第一訓練所が一番施設が整っており、広いという事で、使用者が多かったというのは、この時の僕は知らなかった。
「それから、これが今一番重要な事だから。」
教室内の空気が、一気に変わった。
さっきまでクスクス笑う声が小さく聞こえてたが、引き締まるように空気がピリつく。
朝に何か話していただろうが、遅刻して聞いていなかったし、しっかり聞いとくか。
「改めて学園長と職員で話し合って確認したことなんだが、この学園に他国の諜報員が入り込んでいる事が分かった」
ん?
「だから、学園では気を引き締め生活するように」
だから、か……朝来た時から何か空気がピリピリしていたのは。
昨今、日本の情勢は変わりつつある。
昔は他国との協力関係にあったと言われていたが、能力至上主義の世界になった現在、学園長を中心に変わっていっている。
日本は今、唯一国に成ろうとしている。
他国との供給を能力を生かして自国だけで補い、エネルギー供給は地力、火力、自然発電よりも魔力で補えている。
どんな発電よりも魔力によってエネルギー供給する方が早く、多いエネルギーを生み出す事が出来るようになった。
それにより、他国は日本を危険視するようになった。能力者の数も質も他国よりも上質なのが在籍している。
それがもし、戦争の戦力として投下されようものなら、例え核が落とされても、日本は守られるだろう。それだけの力が存在する。
故に唯一国。
学園長もそれを見越して学園の長になったのか、それとも別の理由があったのか、それとも普通に学園長へとなったのか。
それは分からないが……今はスパイだ。
この国の情勢、戦力、金銭、情報、能力を盗み出す。そのために潜り込んだのだろう。
それを知れば、対抗策、対抗武器が作り出すつもりだろう。
分からない事が多すぎるから、憶測の域を出ないが大体そんなところか。
学園は政府が絡んでいる。この学園何かあるのかもな……




