決闘8
「俺が何者か……か。ソレは俺自身突き詰めたいところなんだが……俺は俺だ」
「……ふっ。そうか……なら、この質問は無粋だな。今楽しいか?」
「答えるまでもないな!!」
両者が一気に接近する。
俺は槍を、和田は新たに剣を取り出し、攻めぎ合う。
ガキンッ!!
まるで金属同士がぶつかり合う音が、訓練所に響き渡る。
刀、槍、ナイフと来て剣とは……一体幾つの武器を持ってきたのか……
「今度は剣術か!」
「そうだ、不都合か?」
「そんな訳無いだろ、寧ろ一番得意な術で来い!」
「それなら喜べ。俺が最も得意なのが剣術だ!」
それなら重畳。寧ろ喜ぶべきか。
それに勝ってこその俺だろ!俺のなんちゃって槍術を御覧にいれよう。
「ここまで来たんだ、もう全力も全力で最大火力でやってやる!」
「……ならば、俺も最大火力で行くとしよう」
訓練所に漂う空気が、魔力が、戦慄する。
互いの気迫が険しくなり、集中力が増している。音も、匂いも、何も感じなくなる程に。
気分が高揚しているからなのか、今が一番最高潮だ。感覚が研ぎ澄まされ、視覚も一挙手一投足を見るのに目が離せない。
血が額から頰へとつたい、地面に落ちる事にも気付かず、ただ一点へと向けられる。
今まで受けてきたダメージも、脳からアドレナリンが出ているのか痛みも感じない。
尚更良い。無駄な事に脳を回さなくて、目の前の事に集中出来る。
これが最後だ。この一撃が最後の攻撃だ。
今この瞬間に出来る最高の手段を選ぶ。攻撃と防御のどっちか、言葉も武器に、最善の行動を取る。
ならば、今俺が取るべき行動は……
「行くぞ」
「ああ」
今ここで、この瞬間を知る者は少ない。
しかし、確かに起きている出来事。一騎打ち。俺対和田のタイマン。
それが、決着する。




