表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/89

日の終わり

 それから、日々は過ぎていき四月は終わりを告げ五月へとなり、もうすぐ決闘の日が近づいていた。

 今日は五月の一日。残り二日、それが決闘までの日数。


「もうすぐ、か」


 独り言を呟きながら、学園へと向かう。

 まだ生徒の通行が少ない時間に僕は一人、学園の敷地内へと入る。訓練所にも生徒の姿は見られず、この時間と夜だけが唯一物静かな時間だろう。


 教師陣もいるとは思えない程の静けさ。

 この世界に自分一人だけしかいないみたいだ。

 その静寂を破る様に一人の声が響き渡る。


「なあ」


 そんな一言が静寂を破り、この場に僕ともう一人。


「和田」


 和田誠一郎。決闘を吹っ掛けてきた張本人だ。

 こんな朝早くから学園の門の前で待ち構えていたという事は、間違いなく何かあるのだろう。

 一瞬、決闘の撤回でもしてくれないかなと思ったけど、顔を見てそんな事は無いと感じた。決意を固めた様な顔してコチラを見てくる。


「どうしたんだ?こんな朝早くから、学園の門の前で」


「お前に用があってな」


「へぇ」


「……やっぱり何度考えてもそうなんじゃないかってそう思った。他の可能性も考えた。けど、俺の見た範囲でも、それ以外の可能性が否定された気分だ」


「何が言いたいんだ?」


 分かっている。和田がこれから何を言おうとしているのか。これから何が起きようとしているのか。


「氷城を倒したの、やっぱりお前なんだろ」


 そうだ。それを馬鹿正直に話しても話さなくもコイツはもう僕が犯人(ソイツ)だって確信しているだろう。

 ……だろうじゃないな。確信しているな。だから誤魔化しても言い訳にもならないか。

 周りにバレたくないっていうのは、和田にも伝わっているのだろう。だからこんな人気の無い時間に僕に話し掛けてきたのだろう。


「それで、僕だった場合どうするんだ?」


「別に、どうしようもねぇよ……ただ、俺と戦ってもらう」


「……」


 逃げ道無(詰み)し……か。コレは、承諾しない限り終わらないな。しかも僕が悩めば悩む程、時間が経ち生徒達が学園に来てしまう為の時限爆弾。

 今ここで判断しろという事か。


 ……


「……分かった。なら人気の無い所でやろうか」


「よし、なら明後日の夜九時頃か、ここで待ち合おう」


 そう言い残して和田は学園の門を潜り中へと入っていった。

 考え事をしていた所為か、何十分も経った様に感じたがものの数分経っただけだったらしい。

 スマホを出して時間を確認したらいつもなら教室前まで行ったくらいの時間だった。


(はぁ〜、やっぱり氷城さんに会いに行ったのが決定的になったのか)


 今日は準備に費やそうなんて、思いながら教室へと向かって行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ