疑心暗鬼
「お前らは知らないと思うが、この学園には二つの方法で勝負を決める事が出来る。一つはお前らも行った総力戦」
総力戦
クラス間やテストなど様々な方法によって評価や勝敗を決める。
総力戦は十数人対十数人による多数戦。少数での、ましてや一対一でない。前は氷城さんが急ぐ様に僕達を倒してきたから二日で終わったが、本来総力戦というのは数日間かけて行うものだ。
普通その位かかる戦闘は相当な準備をして、それから行うもの。準備期間はまぁそれぞれあると思うけど、学園に入学してから卒業するまでの間……
それまでどこのクラスと戦うかは分からないが、僕が、必ずしも出る訳じゃないし。
だから、コレはクラスで考える事だし……
そして、もう一つの勝負方法
決闘
学園の生徒間での決闘。
総力戦の様にランダムという訳でもなく、テストなんかでこのシステムを使うのか分からないが、生徒同士での揉め事によって行わるらしい。
決闘はここ最近導入されたものらしく、それ以前は総力戦のみが生徒間での勝敗を決めていたという。
総力戦だけだと生徒達はモノ足りず、闘いたくてウズウズしていた。
それに加え、揉め事のカタし方にも学園側も困っていたらしい。
だからか、学園も学園長と生徒会との話し合いによって提案が可決された……というのがこの決闘というシステムが導入された経緯らしい。
らしいらしいというのも、全て今和田から聞いた話だからだ。おい久渡さんよ、聞いていないぞそんな情報……
「け、決闘なんて、受けるわけないだろ!?」
「そ、そうだ!そうだ!」
「私達が勝てる訳ないじゃないですか!!」
各々が決闘に反対な様で声を上げる。低ランクが最高ランク相手に勝てる訳がない……そう思っているのだろう。
総力戦の時もそうだった。氷城さん相手に勝てる訳がないと……
「そんなのは分かっている。だからそいつは誰だって聞いても応えないじゃないか。だったら決闘で確認しようとしているんだ。」
僕以外全員が呆けている。本気で言っているから分かる。
それは真直どこかを見つめているように見える。
「本来聞けばそれで済むんだが誰も言わないんだ。仕方ない。」
「仕方ないって何ですか!?」
「仕方ないのは仕方ない。悪いがこれは決定事項だ。ただ、氷城相手に勝った奴なら俺なんて楽に勝てる筈だろうな」
そんな言葉を残し、訓練所を去って行った。
「おいおい!どうするんだよ!?」
「そんなの知らないわよ!それより誰よ!?氷城さんに勝った人って!!」
「俺だって知らねーよ!藍沢さんじゃないのか!?」
「そ、そうだ!藍沢さんなんじゃないのか!?」
そういう結論に至って一斉に全員の視線は藍沢さんの方へと向いた。
教室でも言われ、先生からも学園がそうだって認めたからそうだと決めつけている。
「わ、私は……」




