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疑問

 どうして学園関係者にバレたらいけないのか……

 何故僕の実力が公になるのがいけないのか……

 それが分からない。ただ、分かる事がある。頭ではなく、心で分かる。


「……」


 総力戦の時もそうだった。

 実力を隠して戦おうとして氷城さん相手にしてああいう方法をとった。

 だからまぁ泥試合になったわけだけど……

 ただ、今やったとしても同じ方法をとったかもしれない。

 だがそれはもうどうでもいい。既に終わった事だ。


 何故俺はそういう事をしているのか。

 隠して生きようとしているのか。


「……君……ル君……」


 今まで隠して生きてきた。それも謎だ。

 隠さなければイジメを受けることも無い、もっと自由に、もっと楽に生きていけただろう。

 それなのに何故……


「ヨル君!!」


「!?」


 耳元でそう叫ばれようやく呼ばれている事に気付いた。

 中々気付かなかったからなのか頰を膨らませてコチラを見つめていた。


「な、何?」


「そろそろ時間的に戻りたいんだけど、まだ聞きたい事ある?」


「ああ、もうそんなに経ってたのか。有難う、もう戻ってもらってもいいよ」


「分かった!」


 そう言い、教室の方へと戻っていった。

 僕はその場に残り、考えに耽っていた。自分で自分が分からなくなる。

 一体何時からこういう考えになったのか……

 実力を隠す、バレてはいけない。

 どうして、何故、そればかり頭の中で考えが巡る。

 疑問が駆け巡り、答えが自分の中でも出てこない。何度も何度も考える。

 それでも、一向に自分が求める、納得する程の理由が出てくる事はなかった。


 気付けば時間だけが過ぎていき、やがて


 キーンコーンカーンコーン


 昼休みを終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

 考え事に夢中になって気付かなかった。どう足掻いても昼休み中に答えに辿り着く事はなかった。


「……止めだ止め」


 自分に言い聞かせる様に言葉を発し、そういう考えは一度止めよう。

 今はこれからの事について考えよう。

 昼休みももう終わった。教室に帰るか。


 あ、昼飯食べるの忘れてた。











「……ヨル君、君は騙されやすいね!」

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