学園初日
翌日、よく晴れ春にも関わらず暑い。太陽が憎たらしい。
そんな最近の若者みたいな愚痴を思いながら、学園へと向かう。
朝早かったからなのか、寮から出てくる人は少なく学園へと向かう道も人通りも少なかった。
まだ本格的に通うのに慣れてなく時間管理が出来てなく早く着いてしまった。まぁ早く着く分には良いのだが……
いち早く学園に着き、教室まで行くと
「あ!おはよう!」
藍沢さんがそこにいた。
「おはよう。早いね」
鞄を下ろしながら席へと向かいつつそう話し掛ける。
「アハハ、なんか寝つけなくて起きてたら朝になってて、寮にいるのも落ち着かなくてこんな早くに来ちゃった!」
起きてたら朝……という事は寝てないのか。
昨日まで無人島で総力戦してたし無理もないか。僕はぐっすり寝たけど……
「そうなんだ」
と、短略的な返事をして自分の席に座る。
特にこれと言って話すことも無く時間が過ぎていく。次第に教室へと入ってくる生徒達が見えてくる。
そうすると色々な話し声が聞こえてきて、一番の話題の中心は昨日の総力戦の話しばかりだ。
「お前はどう戦ったのか」とか「総力戦はどうだった」とか、その中でも特に聞こえて来るのは
「誰が勝ったのか」
これでもちきりだった。
段々とコレ以外がどうでもよくなったのか伝染病が広がっていく様に浸食していき、話し声はそれだけになっていた。
「ねね、藍沢さんは知ってる?総力戦勝った奴」
そんな声が僕にも聞こえてきていた。
「え〜知らないよ~!」
知らない、という声が聞こえてきた事に僕はホッと胸を撫で下ろす。
実は僕も勝った奴というのを知らない為にあそこで戦っていたという事を知る人に口止めをすることも出来なかったを今日学園に来る途中で気付いた。
だから内心ソワソワしている。何時、何処で、僕の名前が出るかと思うとおちおちとゆっくりする事も出来ない。
僕がソワソワしていると、いつの間にか朝礼の時間になり生徒達は話を切り上げ席へと座っていく。
やがて先生来て、今日一日の流れを説明する、はずだった。
「えーっと、皆気になっている総力戦の勝者の名前が分かり学園でも話し合い、発表しても問題無いと判断され今から言うぞ~」
えっ……ヤバくね……?




