鳴けや鳴け鳴けホトトギス
お待たせしました。
子分ら話をまとめたところが以下の内容である。
皆でゲームをし、漫画を読み、映画を見ていいかげん夜も更けってきた頃のこと。
つかそんな夜も更けたのならさっさと寝ろという話である。
もとは小説からコミックス化、ゲーム化、アニメ化まで広がっていったとある戦国武将を題材とした作品の話題で盛り上がったとのこと。
揃いも揃ってオタク揃いだな。
そういえば有名な戦国武将を取り上げた句があったよね何だっけアレアレと話題が転がっていったとのこと。
アレアレとやたら指示語が出るようになるのは脳の老化の始まりですよ嘆かわしい。
そうだホトトギスだよ。鳴かぬなら、殺してしまえが信長、鳴かせてみせようが秀吉、鳴くまで待とうが家康だ、と解答が出て、じゃあ次は身近な人物に当てはまると誰になるかとわいのわいのと話が弾んでいたとのこと。
そんな話題で大の男子高校生がそこまで盛り上がれるのならつくづく平和だと思うこの日本。
鳴くまで待とうは、春兄で間違いないとみんなで満場一致したとのこと。
いや待てそれには異論がある。
殺してしまえと鳴かせてみせようは私と誉でどっちがどっちだと議論が分かれたとのこと。
いや待て何故その二択。
そしてその議論は小一時間にも及んだとのこと。
いや待て何故そんなに。
でも結局は信長タイプが私で秀吉タイプが誉で結論が出たとのこ……。
「待て待て待て――――――――い!」
ガコッ!
思わず脳内ツッコミを入れながら下手な説明を簡潔に脳内変換しながら聞いていた私だったが、とうとう我慢できずに思わずちゃぶ台返しならぬテーブル返しをしてしまった。
返した拍子に子分の一人に思いっきりぶち当たってしまったが、ちょうど変態子分だった為問題ナシ!
「異議あり異議あり異議申し立てる! 無理に当てはめようとするから無理がある! 春兄は鳴くまで待とうなんてそんな懐深い人間ではない。というより待つなんて不可能だあれは突撃人間だもの呼んでもない所にとんで行って助けも求めてないのに手をのばす人間に待つなんて動作は不可能! しかも春兄は超絶鈍感で鈍くて察するなんてことは不可能! 鳴けないのなら鳴けるように手助けするが鳴かないのなら最初から鳴かないもんだと想いこむそれが春兄! 句にすれば鳴かぬなら鳴かない鳥だなホトトギス!」
「おお!」
「た、確かに」
「春先輩なら、うん」
「そして私が殺してしまえなんてそんな面倒臭いことするはずがないでしょう! どうせ同じ殺すにしても実際に手をかけるんじゃなく存在そのものを意識下から消してしまうわ。鳴くトリが欲しいのに鳴かないトリにそこまで執着する意味がわからない。句にすれば鳴かぬならそんなのいらんわホトトギス!」
「おお、存在ごとディスるとは」
「これって人に言いかえれば役に立たない人間はいらねってことじゃね」
「ゴクッ。さすが秋さん、パねえな……」
「それに鳴かせてみせようって誉!? あれがそんな生易しいタマだと思ってるわけ!? あれは鳴かない奴をみたらただ鳴かせるんじゃなくてこれでもかってくらい責め立てるに決まってるでしょう! それも超絶笑顔のままでむしろこれでもかってくらいイイ笑顔で! 句にすれば鳴かぬなら鳴くまでいたぶるホトトギス!」
「ああ、何か簡単に想像出来てすっげ嫌!」
「あー、悪夢みそう」
「うーん、同じいたぶられんなら野郎より秋さんのが……ぶっ!」
変態が復活したので手近にあった目覚まし時計を投げつけて黙らせてみた。
いたぶられたいと自己申告あったのだし、本人も満足であろう。
言いたいことを言うだけ言ってちょっとスッキリ。
思わず高ぶってしまったのは昨夜の志良以唯人シリーズを夜通し見てテンション高まっていたせいもあるのだろう。
しかし…………。
「な、何て可哀そうなんだホトトギス……!」
「鳴け! 鳴くんだホトトギス! 鳴かないと酷い目にあってしまうぞ!」
「何があっても俺達は味方だからなホトトギス!」
どこにいるんだホトトギス。
それは文の中の話じゃなかったかい子分らよ。
実際にはいもしないホトトギスにここまで感情移入してるこいつらは本当に大丈夫なのだろうか……。
私は思わず遠い目であらぬ方向を眺めてしまうのであった。
兄登場ならず(話題には出ているけど)。次回セリフ付で登場なるか、はまだ未定。




