#183 プチ打ち上げ会と、ゼフィルス君から素材納品。
みんなお疲れということもあってその日は解散になりました。
もう日が暮れていますので、このまま6人で飲食店に行き、軽く打ち上げして慰労します。
今日は本当にたくさん売れましたので、豪華な夕食です。
「英気を養わないといけないのよ。英気を! ハンナちゃん成分が補給できなくなってしまった今、私にはもうこれしか残されていないの!」
そんなことを言いながらミーア先輩がガツガツ食べていきます。
結構お高い料理がどんどんミーア先輩のお腹に消えていきました。
すごいやけ食いですね。
私たちは普通に乾杯して、美味しいジュースを飲みながら美味しいご飯を食べます。
今日一日頑張った自分へのご褒美ですね。
「それでハンナちゃん。かなり売れちゃったけど、品物や素材は持つのかい?」
「はいローダ先輩。品物はまだまだ在庫ありますよ。今日たくさん作っておきましたから。素材も明日の朝にゼフィルス君が届けてくれるそうなので、明日が今日みたいなペースで人が来ても大丈夫です」
「頼もしい後輩だなぁ」
「まったくじゃ。ミーアもハンナを見習ってはどうじゃ?」
「はによー」
ミーア先輩。お口に入っているときに喋るのはやめましょう。
でもこんなになるなら少しくらい抱きつかせてあげてもいいかもしれませんね。
「ハンナ様が何を考えているかわかります」
「ハンナさんもミーア先輩には甘いですからね」
シレイアさんとアルストリアさんには筒抜けのようでした。
「先ほど情報が入ってきたのだが、学生から学園にお礼状が届けられたらしいよ」
「お礼状ですか?」
「要は自分たちの要望を聞き届けてくれてありがとうというお礼状じゃ。学園には多くの者から〈エデン店〉をオープンさせてほしいと懇願書が届けられていたからの。学園の迅速な動きに学生は感謝しておるのじゃ」
「あ、なるほど~」
「実際、暴動が起こる寸前までいっていたらしいからね。学園が〈生徒会〉を動員するだけじゃなく、自らこれほどのスピードで動くというのはそれだけ事態が深刻だったという証左なんだよ」
「うむ。割とギリギリだったのじゃ」
な、なんだかローダ先輩とフラーラ先輩がしみじみと語ると、事の深刻さが伝わってくるようですね。
「だが安心して良い。今日オープンした臨時〈エデン店〉のおかげで上級ポーションの需要はだいぶ満たされた。。もう暴動が起こることは無いだろう」
「これもハンナのおかげじゃ。学園は近々ハンナに感謝状を贈るかもしれないのじゃ」
「え、えええ? なんだか話が大きくなってきていませんか? 私、普通に錬金していただけですけど?」
「その普通が普通じゃないんだけどね」
「ハンナはそのままで居てほしいのじゃ」
な、なぜでしょう。2人にほっこりとした顔をされましたよ!
美味しいご飯を食べ終わり、みんなで帰宅して翌日。
今日も頑張らないとですね。
朝早くから臨時の〈エデン店〉へ向かうと、そこにゼフィルス君がやってきました。
「ハンナー」
「あ、ゼフィルス君おはようー」
「おはよう。昨日ダンジョンに行ってきた素材、持って来たぜ」
「ありがとうゼフィルス君!」
お店の中に入って〈空間収納鞄〉を逆さにすると、いろんな素材が出てきました。
ゼフィルス君たちは昨日〈岩ダン〉に行っていたようで、ポーションの材料となるものは無かったそうですが、他のメンバーが〈嵐ダン〉で集めてきてくれたそうです。
「これくらいあれば足りるか?」
「うん! まだ素材の在庫もあるし、これだけあれば足りるよ!」
「そりゃよかったぜ。だが、足りるよレベルなのか。すげぇ集客だな。俺たちも今日は〈嵐ダン〉に行ってくるから。ついでに素材の補充もしておくな」
「うん! 助かるよ!」
正直に言えば、昨日レベルのお客さんが来た場合はギリギリ足りるかな、というところです。
でもお店は今日までですし、なんとか足りるでしょう。ゼフィルス君はそれを見抜いて素材を多めに採取して補充してくれるそうです。
これでAランクギルドハウスになった時の素材も安心ですね。
「あと、ハンナにはプレゼントがあるんだ」
「え!」
驚きで素材を数える手が止まりました。
ゼフィルス君がプレゼント、なんだろう。なんだろう?
なんとなくドキドキしながら期待を膨らませてゼフィルス君を見ると。
ニヤリと笑ったゼフィルス君がそれを〈空間収納鞄〉から出しました。
「ハンナのプレゼントはこれだ。以前話した、ゴーレムを加工するための〈加工台〉だーー!!」
ドンッ! と置かれたのは1枚の大きな板。
いくつもの魔法陣が描いてあります。
というか加工台!?
「これが加工台!? あのゴーレムをカスタマイズ出来ちゃうっていう!?」
「その通りだハンナ。こいつは〈魔錬筋肉加工台〉と言ってな。ゴーレム内に人工筋肉を作製出来る加工台だ。今まで何かを犠牲にしなくちゃパワーアップできなかったゴーレム本体も、今後は何も犠牲にしなくてもカスタマイズ出来るようになるんだ! 見た目の変更も少しなら可能なんだぜ? まあ、ゴーレム形態を損なわない程度だけどな。」
「すごい! すごいすごいすごーい!」
「喜んでもらえたようでよかったぜ」
本当は別の何かを想像していたのですが、それは置いておき、私が欲しかった加工台がそこにあったのです!
「それじゃ加工台の使い方、早速伝授しようか」
「お願いするねゼフィルス君!」




