#178 休みをもらっても結局スライムを叩いちゃう。
土曜日なので本日3話投稿!
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お休みって突然もらってもなにをすればいいのかわからないことってありますよね?
私もでした。
あれ? いつもお休みってなにしていましたっけ?
いえ、そもそも入学してからお休みなんてありましたっけ?
なんだかゼフィルス君がずっと動きっぱなしなので、つられて私も動きっぱなしだったような気がします。
〈エデン店〉はAランクギルドに昇格した後、もしくはAランク戦で〈エデン〉が負けたら設備を整えることになったので、とりあえず〈学園出世大戦〉が終わるまでは営業しません。
アルストリアさんとシレイアさんもお休みをいただくそうです。
ずっと忙しかったですからね。
「いえ、忙しかったのはハンナさんだけで私たちはお休みをもらっていましたわよ?」
「はい。〈エデン店〉の在庫がある時は営業はマリアさんたちに任せて休むことしていました」
「そうだったのですか!?」
驚愕の事実が判明しました。
私は〈エデン店〉のメインだけではなく、学園にも納品するアイテムもありますので、その素材の受け取りと錬金もしていました。
とはいえ大部分はセレスタンさんやサトル君がしてくれるので、私がするのは本当に錬金だけでしたけど、毎日していました。
そういえばアルストリアさんやシレイアさんと会わない日って結構ありますよね、ギルドバトルをする日とか。
そういうときにお休みをもらっていたみたいです。
なら丁度良いかもしれません。
お休みを何に使えばいいのか聞いてみましょう。
「アルストリアさんとシレイアさんは、お休みになにをしているのですか?」
「私ですか? そうですわね。勉強でしょうか?」
「そうですか……」
勉強……。
お休みの使い方ってそれはあっているのでしょうか?
「わ、私はショッピングです! いろんな武器屋さんを巡って、目を肥やしています!」
「おー」
なるほどです。シレイアさんの方法は分からなくないです。
生産職として、他の生産職さんの作品を見て目を肥やすのは当然の姿勢だと授業で習いました。
…………問題は私以外の【錬金術師】の上級職が居ないところですね。
そうなると勉強……。
テスト明けたばかりなのに勉強はイヤですー。
うん。他のを見つけましょう、そうしましょう。
「あ、ありがとうございます。お二人の方法、参考にしますね」
「ではハンナさん、良い休日を」
「あ、えっと、よい休日をです」
「です!」
そうして2人と別れました。
「はぁ。アルストリアさんの言葉遣いって憧れるなぁ」
そんな言葉を言いながら寮へと戻ってきて、その日はいつも通りの日課をして就寝しました。
翌日です。
何しましょう?
まずは日課のハイスラリポマラソンから始めます。
装備を調えて、〈上級錬金セット〉を用意して、泥水、そして〈上スライムゼリー〉を用意して準備完了です。
この〈上級錬金セット〉は凄くてですね。
持ち運べる簡易版なのですが、色々カスタマイズすることで機能を増幅させたり、逆に減退させることができるのです。
例えばこの〈上級錬金セット〉は色々な素材を使うことでカスタマイズ出来、今は〈量〉を最上に、〈質〉を最低にしてカスタマイズしていたりします。
これにこだわり始めると生産職として一流だ、みたいなこともゼフィルス君言っていましたっけ。
カスタマイズはどこかを犠牲にする代わりに何かを伸ばすことが可能なんです。
全体的に上げたければ、かなりレアなアイテムを使ったり、合成する必要があるってゼフィルス君言っていました。
私の〈上級錬金セット〉の釜は何もパワーアップ素材を使っていないので、どこかの性能を99%下げたら、どこかの性能が99%上げられるかたちでカスタマイズさせています。
〈質〉を下げると、品質が落ちて〈高品質〉が出来なくなる他、〈粗悪品〉が出来るどころか〈失敗〉することもあります。
普通はあまり下げないのが〈質〉みたいなのですが、私は〈質〉を限界まで下げる方向に振っています。使うのはハイスラリポマラソン。つまり目的は〈大失敗〉ですからね。
そして全力でプラスに振っているのが〈量〉。そうなると、一回で生産出来る量が増えます。
もうお分かりですね?
この〈上級錬金セット〉は、たった1つで何個もの錬金釜と同じ仕事をする優秀な錬金釜なんですよ!
これ、ギルドに備え付けの最上級錬金工房には無い機能なので、とても重宝しています。
早速実演してみましょう。
「〈上スライムゼリー〉を錬金釜に大量に投下し、泥水をたっぷり注ぎます――このくらいですね。そしたらすぐに『上級錬金』!」
はい。『上級錬金』、発動です。
そして〈大失敗〉が発生しました。
ここからが腕の見せ所ですね。同じ物を大量に作る『大量生産』で『上級錬金』を連続発動し『迅速錬金』でスピードアップ。
どちらかの素材が足りなくなるまで『上級錬金』を発動し続け、大量のスライムが次々錬金釜から出てきます。
「『スイング』!」
それを一瞬で刈り取ります。
メイスを一振り。これだけで56匹が光に返りました。
今のはみんな良い位置に居ましたね。おかげで一撃でかなりの数巻き込めました。
これが決まると、ちょっと楽しいんです。
二撃、三撃はともかく同じ数に十撃とか必要とすると凹んじゃうもんね。
「調子が良いよ~。どんどん行こう~! 『簡略生産』!」
略式で生産です。成功率が落ちる代わりに簡単にそして素早く生産出来る方法で、その辺に散らばっている〈上スライムゼリー〉が消え、ポリタンクに入れていた泥水も消えて勝手に錬金釜へ投入され、そして『大量生産』の効果でどんどん錬金されてはハイスライムが発生していきます。
このコンボが強いんです。MPか泥水が切れるまで永遠にスラリポできます!
私の手からメイちゃんが離れることはありません。
私はこの調子でどんどんハイスラリポマラソンを進めていきました。
今日の日課ですね。
それもすぐに終了しました。
「……いつもはこのくらいで終わらせるんだけど、うーん、どうしよっか?」
私は部屋で1人ごはんを食べながら考えます。
何しろ今日の予定が何もないのです。
本来なら朝ごはんだってゼフィルス君の所で食べますから部屋にはいませんし。
今日は休みにするってゼフィルス君に言っちゃったからお弁当を作って行けなかったんですよね。
さて、この後どうしましょう?
〈上級錬金セット〉のカスタマイズを元に戻して普通に錬金しましょうか?
でも、元に戻すのはちょっと面倒です。
うーん。あ、そういえば魔石の消費量が最近多くなってきていたんでしたっけ。
〈学園出世大戦〉が近づいていましたからね。
そろそろ補充しないとと思った矢先にテスト期間だったので忘れていました。
…………。
やっぱり今日はハイスラリポマラソンで魔石を集めることにしましょう。




