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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 ハンナの大変化する日常編!

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#167 闇ハンナ!? 気が付けばメイちゃん握ってる。

土曜日なので本日3話投稿!

まだ読んでいない方は2回バック!




「これが〈ブラックスライム〉。〈魔石(極小)〉で作ったから強くは無いけど、インテリアとしては使える、かな? まあ、僕たちは実験に使わせてもらうのだけどね」


「へ、へぇ~そうなんですね」


 危ないです。なんだか気のない返事をしてしまったかもしれません。

 それもこれもあのスライムが悪いんです。スライムを見るとメイスで叩きたくなってしまうのです。

 両手にメイスを持っていなくて本当に良かったです。


「じゃあハンナ君もやってみよう。これが、レシピね。そっちの錬金釜を使うと良いよ」


「あ、ありがとうございます! うんしょっと」


「……ハンナ君? それはメイスだよ?」


「――あ! 間違えました。こっちですこっち、錬金棒はこっちでしたね。えへへ」


 あ、危なかったです。

 いつの間にか〈空間収納鞄(アイテムバッグ)〉からメイちゃんを取り出していました。

 完全に無意識、なんで私の両手はいつの間にかメイちゃんを持っているのでしょうか!?

 慌てて誤魔化しておきました。多分セーフだと思います。


「あ、『錬金』と『闇錬金』では使う素材が違うんですね」


「そうだね。基本は同じだけど、僕たち【闇錬金術師】が作るとどうしても闇っ()が強くなってしまうんだ」


「闇っ気……」


 私はそっとセルマ先輩の方を見ました。

 何やらポーションのような物を作っているみたいでしたが、完成品は全部真っ黒の液体が詰まっていました。どう見ても怪しい薬を作っているようにしか見えません。

 私は見なかったことにして自分の作業に集中します。


「『錬金』で作る時は着色を加えない分、手間が少ないんですね?」


「その代わり力もさらに弱くなっている。そこは高位職である【闇錬金術師】の作品の方が強いのさ。ただ闇っ気が強くなったんじゃないということだね」


「なるほど~」


 ローダ先輩のためになるお話を聞きながら作っていくと、その時は来ました。


「『錬金』!」


「お見事」


「わ、見せて見せて~。わ~可愛いじゃないの」


 私が錬金釜に手を向けてスキルを唱えると、釜の中身がカッと光、そして青いスライムが入っていたのです。大成功です!

 いつもは放っておけば自分で錬金釜を這って出てくるスライムも大人しい、アイテムなので当然と言えば当然ですが、少し不思議な感じがしますね。

 せっかくなので錬金釜から出してあげましょう。えっと準備を――。


「は、ハンナ君? なんでメイスをまた持っているんだい?」


「あ!? い、いえなんでもありませんよ!?」


 また私の手の中にはメイちゃんが握られていました。

 いったいいつの間に!? ひょっとして自分から握られに来る性質でも持っているのでしょうか?

 いえ、現実逃避です。分かっています。私が取り出しました。


 これは別の意味でスライムを作製する難易度が高いです。

 うっかり倒してしまいかねません。

 お部屋にあるスライムのぬいぐるみと同じだと思えば、いけるでしょうか? あれもたまに叩いてしまうことがありますけど。


 その後、練度を高めるために何度か練習してみましたが、やっぱり錬金釜でスライムを作るというのがダメみたいです。

 無意識にメイスを握ってしまうのです。何度もローダ先輩に注意されてしまいました。

 これは、スライム作りは早々に切り上げてゴーレムを練習した方がいいかもしれません。


「あのローダ先輩。すみませんがゴーレムの作り方を伝授してはいただけないでしょうか?」


「……そうだね。どうやらハンナ君はスライムにただならぬ思いがあるようだ。僕の〈闇スタッフ〉がこんなに反応するのは初めてのことだからね。ゴーレムの方を教えた方がよさそうだ」


 先ほどから私が無意識にメイスを持ったときにローダ先輩が気が付いていたのは、ローダ先輩のローブに安全ピンのごとく突き刺さっているアイテムのおかげみたいです。

 近くの闇っ気が強くなると反応するため『闇錬金』ではかなり重宝すると教えてもらいました。

 なぜ私に反応したのでしょう? 不思議です。


「スライムでまず慣したように、ゴーレムの作り方もそう大きくは変わらない。素材や手間が増えるだけで手順はそう変わらないさ」


「手間が増える、ということは、錬金で素材を作るところからでしょうか」


「お、さすがは【錬金術師】だね。大正解だ」


「え、えへへ」


 褒められてしまいました。

【錬金術師】はポーションなどを作る時、まず『調合』スキルで素材同士を合わせて加工素材にしてから『錬金』します。手順は同じですね。


「まずゴーレムの核を作るのだが、これは魔石を加工して作る。レシピにも書いてあるけれど、これが少し難しいんだ。ほんの少しのミスで品質が大きく下がってしまう。大切なのは回数をこなして慣れることだね」


 ローダ先輩の説明はアイス先生やゼフィルス君のように分かりやすいです。

 教師向きかもしれませんね。ローダ先輩のイメージ的に研究員なんかが合っていそうです。


 といけません。せっかくローダ先輩の貴重な時間をいただいているのですから集中しないとです。


「まず〈魔石(大)〉を用意して、〈中和剤〉の黒と〈ニギシカツ〉〈ヘル鉱石〉〈闇の鎖〉と一緒に〈錬金釜〉に入れてかき混ぜる。そして『闇錬金』! 早い段階で一度錬金して、続いて〈ゴーレムの心臓〉というドロップアイテムをさらに『闇錬金』! これで完成だ」


「わ~。これが〈ゴーレムの核〉ですか。ゴーレムの核を作るのに〈ゴーレムの心臓〉がいるんですね」


「そう、さっき入れたのは資源。それをアイテム素材にするために必要な手順さ。それで出来たアイテム素材のゴーレムの核がこれ」


「……な、なんか禍々しい核ですね?」


「闇っ気が強いだろう?」


 ローダ先輩が持っていたのはハートの形をしたクリスタルに黒い鎖が巻き付いて封印しているような核でした。なお、ハートも真っ黒です。


「続いてはゴーレムの体の作製だが、これがかなり面倒で複雑なんだ。なにしろ、レシピには載っていない代用品の方が強力なことがある」


「え? それってどういう」


「レシピに載っているのは、おそらく基本となる素材なのだろう。それをベースに自分なりのアレンジでゴーレムを強化出来るのがゴーレムの魅力的な部分なのさ」


 基本的にアイテムや武器というのはレシピ通りに作ります。

 ですが、上位になると自由度の高いアイテムや武器などが存在します。

 それはレシピには書いていない素材を使うことで、完成品の効果を変化、強化させることが出来る特殊なものです。そしてゴーレム作製というのはその特殊なものに当たるようです。


「ゴーレムの強さは千差万別さ。力を強くしたい、物を持たせたい、特殊能力を身につけさせたい、見た目を美しくしたい、行動を最適化させたい。そんな様々な思惑を叶えてくれる。それがゴーレムさ。おかげで僕が研究している上級ホムンクルスも同様のことが言えるんだけど、もう宇宙に手を突っ込んでいるかのようだよ。ハンナ君に言っておくね、これは終わらない道のりだよ?」


 なんだかとんでも凄い話になってきました。

 ゴーレム作製、それは私が思っていた以上の難物のようです。




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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔石(大)は上級素材なのに下級職でもこんな事も無げに扱うんだ
[一言] セルマさん、 (勇者に相手にされなすぎて) 勇者ゴーレムとか、そのうち制作するんじゃなかろうか。
感想一覧
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