#165 重要会議。え!? 私がギルドバトルに参加する!?
またある日のことです。
今日は11月30日。
〈エデン〉ではブリーフィングが行なわれました。
――ブリーフィング。
〈エデン〉では時折こうしてブリーフィングを開き、それぞれの予定を話し合いながら方針決定することがあります。
割と重要な話し合いが多いのですが、今日は特に重要なことが話し合われました。
私にも関わることでした。
「まず、先日〈エデン〉はついに上級ダンジョンの攻略を成し遂げた。その翌日に学園から呼び出しがあってな。俺たち〈エデン〉には是非ランクを上げてほしいとお達しがあったんだ。最低でも年内にAランクにはなってほしいらしい」
私たちはどよめきました。
なにしろ〈エデン〉の現在のギルドランクはCです。
それを後1ヶ月でAランクになってほしいというのは一見不可能に思えました。
ランク変動型ギルドバトル〈ランク戦〉は、1度挑まれたら1ヶ月は挑んではならない休息期間が与えられるからです。これを防衛実績と言いますが。Aランク戦を挑むにはこの防衛実績をBランクの時に3回経験するのが条件なのです。
つまりはBランクになってから最低でも3ヶ月はAランクにはなれません。
ですが、こんな話をするということは、何か不可能を可能にする裏道がある、ということでしょうか? 私の予想は当たったみたいです。
でも、その規模は桁が違っていました。
「実は来年の新入生を今までの倍に増やす計画が動き出しているのは有名な話だが、これに伴い、Cランクギルド以上の総数も増えることになったんだ――」
そこから聞かされた話はビックリするものでした。
Cランクギルド以上の数は決まっています。
例えばSランクなら3ギルド、Aランクなら6ギルドまでしかそのランクに就けません。
ですが、その最大数を増やすのだそうです。学生の総数が増えるので、ギルドの数も増えるのが当然だとのことでした。なるほどです。
「Aランクギルドが10ギルドに増えるの!?」
「Sランクギルドは5席になるのか」
「Aランクの空席が7席。〈拠点落とし〉なら1つ下のランクのギルドであればどこでも参加出来る、そういうことか」
みなさんの驚きももっともだと思います。
私もすっごく驚いています。
――〈拠点落とし〉。
戦闘系のランク戦には2種類のバトル方法があります。
〈城取り〉と〈拠点落とし〉です。
〈城取り〉は1対1ですが、〈拠点落とし〉はバトルロイヤルスタイルです。
そして〈拠点落とし〉では防衛実績関係無しに希望者は参加出来ることになっています。
「これについては口止めはされていないが発表もされていないため、あまり言いふらさないようにな。今話したことを踏まえ、俺たち〈エデン〉は12月中に、Bランク戦〈城取り〉とAランク戦〈拠点落とし〉を行なうことに決めた」
これがAランクギルドへ1ヶ月以内に就く方法でした。
驚きましたが、これくらいなら私の出番もありませんので私は平然としていました。
私は生産職ですからね!
なのでBランク戦、ましてやAランク戦に参加するなんてことあるわけがありません。
そう思っていたのですが。
「まずBランク戦の話だが、これの出場者は20人。つまりフル参加、総力戦だ。親ギルドである〈エデン〉のメンバーは全員が上級職となりこれに参加してもらいたい」
「全員出場!?」
「ぜ、全員が上級職ですか!」
「もちろんこの中にはシャロンもアイギスも、そしてハンナも含まれてるから、よろしくな」
え、ええええ!?
全員参加!? 私、Bランク戦に出場するの!?
「私Bランクの戦闘ギルドバトルに出るの!? 大丈夫かなゼフィルス君!?」
「おう! 大丈夫だハンナ、色々準備してるからな!」
「う、う~ん。大丈夫かなぁ。でもゼフィルス君が言うなら……」
ゼフィルス君が親指を立てながら自信満々にそう宣言したことで、私はなんだか大丈夫な気がして頷いてしまいました。
なぜだかゼフィルス君の言うことってすぐに信じてしまうのですよ。
困りものです。
あとで聞いたのですが、〈エデン〉がまず挑むBランク戦では〈20人戦〉が基本なのだそうで、Cランクギルドが挑む時は強制的に総力戦になってしまうのだとか。
うう~ん。なら仕方ありませんね。
私も頑張りますよ!
ですが生産職が戦闘職を相手にすることは難しいです。
対峙したらすぐやられてしまいます。なので私は生産方面で何か出来ることを探さなければいけません。
例えば〈爆弾〉とかですね。
今一度レシピを確認してみましょう。
何か使えるアイテムなどがあるかも知れません。
そこまで考えた時に、私の頭に過ぎる物がありました。
そういえば、あれがありました。
学園祭で貴族の方々からいただいたレシピの中に、ちょうど良さそうなものがあったのです。
あのアイテムならひょっとしたらギルドバトルに貢献出来るかもしれません。
ブリーフィングが終了したところで、私は早速そのレシピのアイテムを作ってみることにしたのでした。




