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【本編書籍化】ゲーム世界転生〈ダン活〉EX番外編~ハンナちゃんストーリー~  作者: ニシキギ・カエデ
第四章 ハンナの大変化する日常編!

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#162 時代が変わる?まさに大上級ダンジョン時代!



 例の学園祭でのユーリ殿下の発表から上級ダンジョンへの進出がブームとなっています。

 高位ギルドの方々がどんどん上級ダンジョンに入ダンして行くんです。

 それまでほとんど攻略どころか入ダンまでごく一部の学生しかしていなかったのに、時代が変わりつつあるのだととても実感しています。


 そして――なぜ私はその渦中にいるのでしょう?


「ハンナ、次の〈転移水晶〉と〈霧払い玉〉の納品分、出来てるか?」


「あ、うん。その〈空間収納鞄(アイテムバッグ)〉に入ってるよ。持ってってゼフィルス君」


「サンキュー、いつも助かるぜ」


 ゼフィルス君が私の工房にあるいくつかの鞄のうち1つを持って行きます。

 あの中にあるのが問題なのです。


 1つは〈転移水晶〉。

 上級ダンジョンで使える、即転移で帰還できるアイテムです。

 これまで上級ダンジョンが忌避されてきた理由の1つに、広大すぎて迷って帰って来られなくなるというものがありました。つまりは遭難です。


 ですがこの〈転移水晶〉があれば遭難する危険はグッと減ります。というか遭難しなくなります。

 危険があってもすぐに帰って来られるため、上級ダンジョンへのハードルがグッと下がったのです。


 続いて2つ目が〈霧払い玉〉。

 これも学園祭の時にユーリ殿下から発表があったもので、これは上級下位ダンジョンのランク2(下から2番目の難易度)である〈霧雲の高地ダンジョン〉通称〈霧ダン〉。ここの霧を払うアイテムです。


〈霧ダン〉は常に霧に覆われていて視界が悪く、罠やモンスターの奇襲が多くて厳しいダンジョンです。

 ですがこの〈霧払い玉〉を使えばあら不思議。ダンジョンを覆う霧を瞬く間に晴らしてくれるアイテムなのです! これでダンジョン攻略がグッとやりやすくなります。


 いえ、ゼフィルス君曰く、やりやすくなるどころの騒ぎではないと。むしろランク1である〈嵐後の倒森ダンジョン〉通称〈嵐ダン〉よりも難易度が下がるとのことで、現在は学生向けの上級ダンジョン入門口として開放されているダンジョンでもあります。


 そう。現在は学生さんはみんな霧の晴れた〈霧ダン〉に入ダンしまくりボス狩りをして宝箱をゲットしまくっているのです。あとレベル上げも。


 今まで危険でいっぱいだった上級ダンジョンに安全に入ダンできるというのはまさに革命的なこと。

 ことは学生だけにはとどまらず、世界中から注目されているのだと風の噂で聞きました。


 そして、それを可能にしている重要な2つのアイテム。その作製が出来るのが今のところ私だけなんだそうです!

 なんで私、そんな重要な出来事の中心地にいるの!?

 教えてゼフィルスくーん!

 私はゼフィルス君に助けを求めたい気持ちになりました。


 でもゼフィルス君は行ってしまったばかりです。

 仕事の邪魔はしてはいけません。ゼフィルス君も学園を盛り上げるため頑張っているのです。

 私も頑張らないと……。


 とはいえ私は言われた数を作るだけの簡単な作業なんですよね。

 後のことはセラミロさんやゼフィルス君がやっているので。

 本当に私はとても重要なポジションに居るのか、よく分かんなくなるときがあります。

 あ、〈転移水晶〉2000個出来ました。


 また、上級装備を作るための真素材も継続して作っています。

 ゼフィルス君たち、どんどんギルドメンバーの〈上級転職(ランクアップ)〉をしているので生産職の私たちが全力で支えないとですね。いっぱい、いっぱい、いーーっぱい作りますよ。

 そんな感じでなるべく現実を直視しないよう錬金作業を頑張っていると。

 ある日私にとっての福音がギルドにやってきました。


「あれ? もしかして〈青空と女神〉ギルド?」


 ギルドハウスの1階に降りたときに見えてしまったのです。

〈エデン〉に来たお客さん。その全員に付けられたギルドエンブレム。

 あれは間違いありません。見間違うはずもありません。


「Aランク唯一の生産ギルド〈青空と女神〉のエンブレムに間違いありませんわ」


「学園で最高の生産ギルドでもあります」


「ってアルストリアさん、シレイアさん!?」


 ビックリしました。気が付いたら後ろに2人がいました。


「あ、ごめんなさいハンナさん驚かせてしまいましたわ」


「すみませんハンナ様」


「い、いえ。大丈夫です」


 2人は〈エデン店〉の従業員にして〈エデン〉ギルドハウスの2階にある錬金工房で生産もしてくれるので、ギルドハウスにいてもなんら不思議ではありません。


 不思議なのは学園最高の生産ギルドであるギルド〈青空と女神〉が〈エデン〉にいることです。


「ですが上級職のハンナさんが気にすることではありませんわよ」


「そうです! ハンナ様こそ最強です!」


「べ、別に最強じゃなくてもいいんだよ?」


 シレイアさんが持ち上げてくれますが、とても遠慮したいです。

 早く誰かが私に追いついて〈転移水晶〉と〈霧払い玉〉の生産を代わってくれることを切に願っています。切実です。


〈エデン〉に入ってしばらくすると〈青空と女神〉のみなさんは帰っていきました。


 後で聞いた話ですが、〈エデン〉と〈キングアブソリュート〉が〈青空と女神〉に〈上級転職チケット〉を渡し援助を始めたとのことだったのです。


 こ、これは、私の重荷が取れる!?

 私は密かに期待しました。


 ですが、私が〈転移水晶〉と〈霧払い玉〉の生産を続けるのは、どうやらしばらく継続な模様です。





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ゲーム世界転生〈ダン活〉1巻2022年3月10日発売!
― 新着の感想 ―
[良い点] なんという内助の功! ゼフィルスはハンナへの感謝が足りないと思う。
[気になる点] >#162 時代が変わる?まさに大上級ダンジョン時代! (ワン〇ースのパロっぽいのは分かるが) 大上級ダンジョンという、 上級よりもうえのダンジョンが、新たに出現したみたいな風にも見…
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