#148 生産隊長になるには試練がいっぱい!まずは採寸
本日3話投稿!
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「というわけなんですミーア先輩! まずは生産ギルドを回りましょう! そして衣装作りを依頼しましょう!」
「それは良いアイデアですわハンナさん」
「え、えええ?」
早速放課後、ミーア先輩にゼフィルス君から聞いた内容を話すとアルストリアさんがまず賛成してくれました。
ミーア先輩は戸惑っていますね。
そのままシレイアさんに視線を投げます。
「はい。私もハンナ様に賛成です!」
「シレイアちゃん!?」
これで賛成多数で決定です。
ミーア先輩、大人しく可愛くなっちゃってください。
ミーア先輩は素材が良いので絶対可愛くなると思うんですよ。
視線でアルストリアさんを見るとにっこり笑って頷いてくれました。
以心伝心です!
「では、早速行きましょう!」
「待ってハンナちゃん!? どこに行くの!?」
「もちろん〈ワッペンシールステッカー〉です!」
「そこCランクで一番立場が上のところ! 私のギルドも幾度も素材流してもらっているところだよ!?」
「はい! ミーア先輩をきっと可愛く仕上げてくれます! 行きましょうミーア先輩!」
「ハンナちゃんが珍しく強引!?」
はい。これもゼフィルス君のアドバイスです。
こういうのはちょっと強引に行くくらいがちょうど良いんだって。
だからいつもスカウトを100発100中で成功させるゼフィルス君を参考にしてみました。
がしっとミーア先輩の右手を掴んで引っ張ります。
すると反対の手はアルストリアさんが握りました。
引きつった顔のミーア先輩。でも大人しく諦めるつもりは無いようで私たちを説得し始めたので、シレイアさんにもミーア先輩の背中を物理的に押してもらって〈ワッペンシールステッカー〉へ向かいました。
「ここです!」
「本当に来ちゃった……」
3人に連れてこられたせいですっかりほへぇと力が抜けているミーア先輩。
今のうちに中に入れてしまいましょう。
「おじゃましまーす」
「Zzz」
「この人立ったまま寝ていますわ!?」
「!?」
あ、店番はメイリー先輩の日だったみたいです。
あれ? アルストリアさんとシレイアさんはメイリー先輩とは初対面でしたっけ?
いつも〈エデン店〉を手伝ってくれている2人なので、てっきり交流の深い〈ワッペンシールステッカー〉のメイリー先輩とも面識があると思い込んでいたようです。
そういえば、メイリー先輩はギルドからほとんど出ないと聞いたことがありましたね。
「メイリー先輩、起きてください~」
「んはっ!? ね、寝てないよ?」
いえ寝てました。全員がバッチリ見てました。
メイリー先輩は口元を拭う仕草をして、営業スマイルで私たちを出迎えます。
それはもう完璧で素晴らしい仕草で。
「いらっしゃいハンナさん。マリーにご用でしょうか?」
「すごい取り繕いを見ましたわ!?」
アルストリアさんがそのメイリー先輩の変わりように驚いていました。
私も驚いたことがありますが、すごいですよね。
「いえ、マリー先輩もそうですが、今回は〈ワッペンシールステッカー〉自体に依頼がありまして」
私がそう言ってミーア先輩を見ると、アルストリアさんとシレイアさんがミーア先輩の背中を押して前に出しました。
「ミーア先輩を可愛くしてあげたいんです。実は―――」
私はミーア先輩が生徒会生産隊長へ立候補することを伝え、ギルドの生産品を身に着けて学園祭のパレードでアピールすることを話しました。
「なるほど。話は分かりました。では少々奥の部屋でお待ちください」
そう言ってメイリー先輩はスッと奥に消えていきました。
多分、ギルドの人たちに相談しに行ったのだと思います。
「へ? 案内は無しですの?」
「私が知っていますから大丈夫ですよ」
アルストリアさんの疑問にお答えします。
もうすっかり勝手知ったるという感じで部屋へと向かいます。
マリー先輩と装備を合作する時、工房と奥の部屋をよく使いましたからね。
もう〈ワッペンシールステッカー〉の人たちとは顔なじみです。
そうして奥の部屋で待つことしばらく、メイリー先輩が戻ってきました。
「そういうことなら可愛く仕上げるって」
あ、接客口調じゃなく普段の口調に戻っていますね。
お客というよりビジネスのパートナーだから、かな?
それとも単純に眠かったりして。
「ありがとうございます。〈ワッペンシールステッカー〉が協力してくれるなら他のギルドの協力もつけやすくなりますよ」
「いいのいいの。じゃあミーアさん? こっち来て。採寸するから」
「さ、採寸? ふ、普通の標準サイズでいいよ?」
「ダメダメ。宣伝するなら手は抜けない。しっかり体に合わせてあげるから」
「でも、全身を採寸されるにはちょっと体型がね!?」
あ、ミーア先輩が来たくなかった理由はこれかもしれません。
ミーア先輩、調理系の職業持ちなのに加えて最近事務仕事ばっかりしていましたからお腹周りを気にしていたような?
「私は気にしません!」
「は、ハンナちゃーん!?」
説得は無理だと判断したミーア先輩がこっちに振り向きますが、私たちは手を振って見送りました。
「さ、脱いで」
採寸って下着姿でやるのが普通なんですよね。
私も学園に来てすぐの頃マリー先輩に測られました。ちょっとビックリしたのを覚えています。
ミーア先輩は少し涙目になりながら下着姿になって、トホホとオヨヨが合体したみたいな表情をしながらメイリー先輩に採寸されていました。
頑張ってくださいミーア先輩。これも生産隊長になるためです!
でも、私たちの励ましも、ウエストを測られた時の悲鳴にかき消されてしまうのでした。




